スター・トレック イントゥ・ダークネス (クリス・パイン & ザカリー・クイント)

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映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(Star Trek Into Darkness)は、2009年に公開された映画『スター・トレック』の続編で、引き続きJ・J・エイブラムスが監督を務め、ジェームズ・T・カーク役のクリス・パインやスポック役のザカリー・クイントたちも続投しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
西暦2259年、ジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)率いるU.S.S.エンタープライズが、惑星ニビルの未開種族を絶滅の危機から救う。しかし、その際、絶体絶命の状況に陥ったスポック(ザカリー・クイント)を救助するために、エンタープライズを現地人に見られるという規則違反を犯してしまう。カークはそのことを上層部に隠していたが、スポックは報告の義務は果たさなければならないと律儀に報告。規則違反は問題視され、カークは降格、スポックは転属の処分を受ける。船長に戻ったクリストファー・パイク(ブルース・グリーンウッド)は、カークに対して過ちを戒めつつも、副長に指名して温情を与えた。
そんな中、ロンドンの艦隊データ保管庫が何者かの手により爆破され、多数の死傷者を出す事件が発生する。事件の対策を協議するために、地球付近にいた主だった士官たちがサンフランシスコの艦隊本部に召集され、パイクやカーク、スポックも出席する。事件の首謀者は、カークらと同じ組織に属する艦隊士官だったジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)であると判明していた。ハリソンの追跡に関する協議が進められる中、カークはそのテロ事件は始まりに過ぎないことに気がつく。つまり、ハリソンが保管庫を狙ったのは、対策本部が設置されて会議室に上層部が集まることを見越してのことではないかとカークは考えたのだ。しかし、時すでに遅し。小型船に乗ったハリソンが会議室を狙って襲撃してきた。カークの機転のおかげで船を破壊することができたが、パイクは命を落としてしまった。
船の残骸からはなんと小型ワープ装置が発見された。ハリソンがクリンゴン帝国の本星クロノスに逃げ込んだことが判明し、カークはその追跡を志願する。カークの申し出が受け入れられ、アレクサンダー・マーカス提督(ピーター・ウェラー)の命によって、カークを船長とするエンタープライズが、ハリソンを追うことになった。カークは副長としてスポックを指名するのだった…。

前作に引き続き、迫力満点の映像と個性的なキャラクターが健在でよかったです。
地殻変動による惑星ニビルの火山の噴火に始まり、ロンドンの艦隊データ保管庫の爆破、スペースバトルなど迫力満点の映像が盛りだくさんでした。加えて本作ではカークはもちろんのこと、スポックもリアルな肉弾戦を披露してくれていて、臨場感がありました。無駄が嫌いで省エネ志向とも言えるスポックの肉体アクションは新鮮でした。
論理ではなく勘に頼って動く熱血タイプのカークや、感情よりも論理が優先のスポックをはじめとする個性的なキャラクターたちの掛け合いは、時に笑える場面からシリアスな場面まで、作品に一層の深みをもたらしています。特に本作ではカークが人類の危機を通じて真のリーダーとして成長していく様子が見られたり、「感情を捨てた」と語っていたスポックがパイク提督の死やカークの熱情に触れることにより変化を見せてくれます。しばしば反発していたカークとスポックが、ある出来事がきっかけで友情を確認し合う場面は感動的でした。パイク提督とカークの、師弟のような、父親と息子のような関係もよかったです。エンタープライズのクルーたちの絆も見逃せない要素でしょう。
そして、やはり注目すべきは、謎に包まれた敵であるハリソンの存在です。ハリソンの真の目的が物語の大きなキーポイントになっています。往年のスタートレックファンからすると、ハリソンの正体が分かった時点である種の感動を覚えることでしょう。ハリソンのクールな表情に浮かぶ悲哀と復讐をたぎらせる怒りは、その裏にある壮絶なドラマを感じさせます。ハリソンとカークたちの間で繰り広げられる心理戦と、躍動感あふれる戦闘シーンも見応えがありました。
エイブラムス監督の映画製作哲学は「どんなに凄いアクションも、ドラマをサポートする役割を果たさなければ意味がない」ということらしいです。なるほど、本作でも凄いアクションを提供しつつも、キャラクター描写を疎かにせず、エモーショナルなドラマが展開されていました。
本作のラストでは、カークの次のようなナレーションが流れます。「宇宙、それは人類に残された最後のフロンティア。そこには人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない…」。これは、スタートレックの最初のTVシリーズのオープニングに流れたものと同じです。いわばパラレルワールドともいえる本作映画の時間軸のカークたちも、ここからが本当の旅立ちなのかもしれません。そういう意味でも、少々気の早い話ですが、更なる続編も期待しています。