空飛ぶ広報室 最終回

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TBS系列の日曜劇場枠にて放送されていた連続ドラマ『空飛ぶ広報室』は先日、最終回(第11話)を迎えました。
●あらすじと感想
東日本大震災当時、空井大祐(綾野剛さん)は松島基地にいて被災しました。そんな空井と稲葉リカ(新垣結衣さん)とのお互いの状況を確認し合うメールはしばらく続きましたが、ある日、空井から「稲葉さん。ごめんなさい。僕は、松島基地に異動することになりました。自分から、志願しました。今までありがとうございました。もう、連絡しません。稲葉さん、どうか、幸せになってください」というメッセージが届きました。それから2人は一切連絡を取らなくなりました。
それから2年後の2013年4月、ブルーインパルスが松島基地へ帰還することになりました。阿久津守(生瀬勝久さん)は、この2年間の仕事ぶりから公正な目で取材できるだろうと松島基地へ震災の取材に行くようリカに薦めます。空井が松島基地の広報にいることから、松島基地の取材を渋るリカ。そんなリカのことを心配して、居酒屋に比嘉哲広(ムロツヨシさん)、槙博巳(高橋努さん)、典子(水野美紀さん)、片山和宣(要潤さん)たち昔の広報室のメンバーが集まり、リカ自身の目であの日の松島を見てきてほしいとリカに頼みました。信頼するリカに松島基地の取材をしてほしいと言うのです。リカは涙を流して承諾しました。
いよいよ迎えた取材の日、リカと空井は2年ぶりに再会しました。いろいろな人に当時の話を聞き、空井と2人きりになって空井の話を聞くリカは、泣き出して「私、なんにも伝えられていません」と言います。空井は「何かできることがあるって楽なんです。有事において果たすべき義務がある。それだけでも心の拠り所になります。だから気にしなくていいんです。稲葉さんが泣くようなことじゃないんです」と言ってなぐさめ、しゃがみこんで泣くリカの頭を優しくなでました。「余計泣けるんでやめてください」と言うリカに対し、空井は「僕が稲葉さんにできることは、他にもう無いんです」と寂しそうに言いました。
その日の取材が終わって空井と別れた後、リカは鷺坂正司(柴田恭兵さん)と再会しました。鷺坂は、定年退職で自衛隊を退官しましたが、震災の際には自衛官OBとして隊員たちが少しでも安心して任務に励めるように彼らの家族の捜索活動に従事し、震災後も東京と宮城を往復して避難訓練のレクチャーをしたり被災者の心のケアをしていました。そんな鷺坂と共に避難所に行き、ブルーインパルスの展示飛行が中止になったことを残念がる地元の声を聞いたリカは、あることを思いつきます。それは、明日おこなわれる飛行訓練を告知して、基地の外から地元の人に見せるというものでした。
翌日、基地の外には、リカたちが配ったチラシのおかげで多くの人が集まっていました。ブルーインパルスの飛行訓練が始まると、「おかえり!」と歓声が上がり、拍手が沸き起こりました。鷺坂は空井にリカのおかげであることを伝え、「空井大祐!稲葉リカ!あの日から時計の針が止まってしまった人がたくさんいる。でもそれでも、前に進もうとしている人たちがたくさんいる。勝手な願いだが俺は、おまえたちに諦めてほしくない!!」と叫びました。見上げた空では、震災前に空井とリカが一緒に見た時と同じように、2機でハートの形を作り、もう1機がそのハートを射抜くバーティカルキューピッドと呼ばれる曲技飛行が披露されていました。離れた場所で同じ空を見ていた空井とリカは目に涙を浮かべ、それぞれ相手の場所に向かって走りだします。そして2人は合流し、空井が「稲葉リカさん!僕は稲葉さんのこと幸せにできるかどうか分からないけど…」と言うと、リカが「私の幸せは、私が決めます!」と力強く答えました。それから2人は幸せそうに抱きしめ合います。鷺坂はその様子を写真に撮ってメールに添付して、昔の広報室のメンバーや阿久津に送りました。みんなはその写真を見て喜びました。
数カ月後、典子は博巳の子を無事出産。片山は婚活の末、ついにプロポーズを成功させました。比嘉はいつものように部下のミスをカバーするために奔走。鷺坂は近所の子どもが集まる野球チームのコーチを続けていました。そして、リカと空井は結婚しましたが、東京と宮城で遠距離別居婚状態です。離れ離れで大丈夫かという周りの人の心配する声に、それぞれの場所で2人は鷺坂のように指を鳴らして、空を指差して「空は、繋がってます」と答えるのでした…。
お互いを思いやるがゆえに別々の道を歩むことにした空井とリカ。鷺坂は、そんな2人の心境を理解した上で空井の背中を押しました。今回のことだけではなく、本当に鷺坂が2人に与えた影響は大きいと思います。
空井が被災地でかみ締めているという“災害派遣は、勝利なき闘いである”という言葉が印象的でした。
私も空井たちのように“意志あるところに道は開ける”と信じて、たゆまぬ努力を心がけたいと思います。

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