Q10 キュート 最終回

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日本テレビ系列にて毎週土曜夜9時から放送されていた連続ドラマ『Q10』は、一昨日、最終回(第9話)を迎えました。
●あらすじと感想
Q10(前田敦子さん)はリセットされていませんでした。柳栗子教授(薬師丸ひろ子さん)がQ10のリセットボタンである歯をあらかじめ入れ替えていたのです。Q10は柳教授の指示通り、リセットボタンが押されたふりをして、機会をみて富士野月子(福田麻由子さん)のところから逃げ出しました。
Q10と再会し、そのことを知って喜ぶ深井平太(佐藤健さん)でしたが、月子の話によると、平太にリセットボタンを押させQ10を連れて帰らないと、世界が大きく歪み、2つの文明が滅び、1つの言語が消滅し、560万人もの人たちが死んでしまうそうです。人は見たものしか信じないというのが持論の月子は、どうせそんなことは信じてもらえないと思っていましたが、意外にも平太は自らリセットボタンを押すと申し出ました。
そのように平太の心を動かしたのは、Q10の歯から出てきたカプセルに入っていた、88歳の平太自身からの手紙がきっかけでした。手紙の最後のところには「十八才の俺に言いたい。キュートを愛したように世界を愛せよ」とありました。その言葉の意味を考える平太は、父・武広(光石研さん)に「母ちゃんのことを愛するように世界を愛せる?」と訊いてみました。すでに母ちゃんを愛するがごとく世界を愛しちゃってると答えた武広が説明したその根拠は、平太の心を揺さぶりました。それを平太の立場に置き換えると、Q10に親切な人を愛し、Q10を成り立たせているものを愛することが、すなわちQ10を愛するように世界を愛するということを意味してました。Q10は平太の心がざわざわしているとして、このまま一生ざわざわしていては幸せになれないから、ここは1つリセットボタンを押しましょうと提案しました。そんなQ10を抱きしめた平太は覚悟を決め、リセットボタンを押すことにしたのです。
Q10は人間の脳の記憶に残らない材質で出来ていて、1年くらい経つとQ10のことを思い出せなくなるそうです。月子も同じようなものを塗っているので、Q10と月子が元の世界に戻れば、Q10たちのことは徐々に平太たちの記憶から消えて行くようです。以前、柳教授が月子から薬品のようなにおいがすると言っていたのはこのことだったのですね。
「この時代の人は目に見えないものを信じることができるんですね」と感心する月子に、柳教授は、以前あなたは「“永遠”はない」と言っていたけど、2010年に見たものはあなたの中で永遠の風景になるんじゃないかなと言いました。それを聞いた月子は「そっか、“永遠”って自分で作れるんだ」と納得。それに対し、柳教授は「ほら、あなただって持ってるじゃない。目に見えないものを信じる力」と言いました。
Q10が元の時代に戻ることを知らされた中尾順(細田よしひこさん)は、Q10にお願いをして自分もいずれQ10みたいなロボットを作れるというパワーを授かりました。それはQ10の「パフパフパフパフパフパフ」という掛け声です。Q10が出て行き、平太の担任教師・小川訪(田中裕二さん)の家には下宿人を置くことになりました。それはなんと柳教授でした。小川先生は嬉しそうです。そういえば、仲がギクシャクしてしまった影山聡(賀来賢人さん)と河合恵美子(高畑充希さん)は「とりあえず自分のことを信じることから始めよう」と話し合い、前を向いて歩き出しました。藤丘誠(柄本時生さん)のもとには、父親(柄本明さん)が金の無心のためか再び現れました。でもテーブルにうつ伏せになって寝てしまっていた弟・勇人(谷端奏人さん)が書いたクリスマスカードの「かぞくでクリスマスがしたいです」という願い事と、それを見て「叶えてやりたい」という誠の言葉を聞いて、何か感じるものがあったようです。来年はクリスマスプレゼントを用意するようなことを言いました。誠は、校長・岸本路郎(小野武彦さん)に「社会でうまくやっていこうと思ったら、まず頼りになる大人を見つけろ」とアドバイスされました。誠は「います」と答えて、それは校長先生だと言いました。それを聞いた校長先生も嬉しそうです。自分のことを信じてくれる人がいるというのは幸せなことです。心臓病の病状が芳しくない久保武彦(池松壮亮さん)ですが、山本民子(蓮佛美沙子さん)は彼の退院を信じて励ましました。平太も武彦が学校に戻る日が来ることを信じています。
月子が未来に戻る日、月子は平太に少し先の未来を見せました。それはQ10そっくりの女性と平太が楽しそうにQ10の存在について話している風景でした。そんな中、平太は「グッドバイ・マイ・ラブ」を鍵盤ハーモニカで吹いているQ10そっくりの女性・里子(前田敦子さん)と出会いました。その女性こそ、平太が忘れてしまってもQ10は居るって信じ続けてくれた未来の奥さんです。平太はその場で88歳の自分の手紙を読んですべてが繋がりました。平太はQ10のことを徐々に思い出せなくなると知って、ノートにQ10のことを書き留めていましたが、記憶は徐々に消え、そのノートを見ても自分の作った想像の産物だと思うようになりました。ところが、妻だけはQ10の存在を信じ続けてくれていて、余命が少なくなった時、18歳の平太に会いたがりました。平太はその願いを叶えるためにタイムトラベル用のロボットを発注し、顔は妻の昔のデータを元にしました。出来上がったロボットはQ10そのものでした。型番も同じだったのです。手紙はこう結ばれていました。「十八才の俺に言いたい。キュートを愛したように世界を愛せよ。今は見えなくても、自分を信じろ。いつか目の前におまえが信じたものがカタチをもって現れるその日まで。」
手紙にあった平太の奥さんの「愛も勇気も平和も、この地球上にあると思えば、きっとあるのよ」という言葉が印象的でした。そんな妻の影響を受けた平太だからこそ、もうすぐ妻とはお別れという時に「俺がいると思っている限り、妻の笑顔もまたこの世からなくならない」という気持ちになったのでしょう。
このドラマの世界観や空気感が好きだったので、終わってしまってなんだか寂しいです。ドラマの最後のテロップがまた印象的でした。「このドラマはフィクションですが、あなたがいると信じる限り、登場人物たちは、誰が何と言おうとどこかで生き続けます」。私の心の中にもQ10たちは生き続けることでしょう。