ポテチ (濱田岳さん)

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映画『ポテチ』は、伊坂幸太郎さんの中短編集『フィッシュストーリー』に収められている同名短編小説を、中村義洋監督が実写映画化した作品です。
濱田岳さんは、今村忠司 役で出演しています。ちなみに濱田さん、中村監督、伊坂さんがタッグを組んだ映画は『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』に続き4作目となります。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
空き巣を生業とする今村忠司(濱田岳さん)は、仕事の様子が見たいと言う恋人の大西若葉(木村文乃さん)と一緒に、あるマンションの部屋に空き巣に入る。ところが今村はソファでくつろいだりして、金目のものを探そうともしない。家主が帰ってきてしまうのではないかと心配する若葉に、今村は、野球の試合中だから大丈夫だと説明する。家主は仙台を本拠地とするプロ野球選手の尾崎(阿部亮平さん)だったのだ。
すると、そこへ家主の尾崎に助けを求める電話がかかってきた。それは今村と若葉が出会った時と状況が似ている。そこで放っておけなくなった2人は、留守番電話にメッセージを残した女が待つ場所へ向かうことにするのだった…。

盗人ながら心優しい純粋な青年・今村、「ぶっとばすよ」と言ってストレートに感情をぶつける女性・若葉、「俺は人の気持ちがわからない」と言いながらも色々と世話を焼いてくれる黒澤(大森南朋さん)など、登場人物がいい味を出していて、なんとも心地よい雰囲気でした。そして、家族や恋人、友人を思いやる気持ちが独特な切り口で描かれていて、なんだか温かい感情が胸の中にこみ上げてきました。
同じ年、同じ日に生まれた同郷の今村と尾崎。盗人とプロ野球選手という全く違う人生を歩んでいる2人には、ある強い結びつきがありました。それが何なのかは、すぐに察しがついてしまう人が多いでしょう。でも、察しがつかなかった人には”驚き”という楽しみ方があるでしょうし、察しがついた人には登場人物の気持ちがリアルタイムに分かるという楽しみ方があるでしょう。何気ない会話に伏線が張られていたり、すべての登場人物にきちんとした役割を持たせてあったりして、実に見事だと思いました。
タイトルの”ポテチ”の意味は、「コンソメ食べたい気分だったんだけど、塩は塩で食べてみるとイイもんだね。間違えてもらって、かえって良かったかも」という若葉の言葉が表していました。ともすると聞き流してしまうようなセリフにメッセージが含まれていて絶妙でした。
ホームランのことを「ただボールが遠くに飛ぶだけのこと」と表現していた若葉が、「ただのボールがあんなに遠くに…」と感動するまでになる過程も面白かったです。
本作では中村監督自身が、今村の親分あらため専務の中村 役で出演しています。フライを捕りそこねたことで野球に対してトラウマを抱える中村。そんな彼がエンドロール中に“奇跡”を見せてくれます。私の記憶では原作には無かったシーンですが、なかなか物語にマッチしていて面白かったです。
上映時間が68分と短いですが、鑑賞料が1300円ですし、面白さがギュッと凝縮されているので満足感がありました。女優の竹内結子さんが通行人役でわずか3秒間エキストラ出演していますので、ご覧になる方はどうかお見逃しなきようご注意ください。