俺はまだ本気出してないだけ (堤真一さん & 橋本愛さん)

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映画『俺はまだ本気出してないだけ』は、小学館「月刊IKKI」で連載されていた青野春秋さんの漫画を実写化した作品です。
テレビドラマ“勇者ヨシヒコシリーズ”や『コドモ警察』シリーズなどで知られる福田雄一監督がメガホンを取っています。
堤真一さんは、主人公・大黒シズオ 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
バツイチで子持ちの中年男・大黒シズオ(堤真一さん)は、「本当の自分を探す」と勢いで会社を辞めたものの結局朝からゲームをしたり、近所をブラブラする生活を送り、同居している父・志郎(石橋蓮司さん)から怒鳴られてばかりだ。そんなある日、本屋で立ち読みをしていたシズオはとうとう自分の生き方を見つけたと直感する。シズオは早速、父・志郎と娘・鈴子(橋本愛さん)の前で「俺、マンガ家になるわ」と宣言。中年の視点と斬新かつ鋭い切り口で漫画を描くと息巻くシズオだが、志郎は「おまえは本当にバカなんだな」と落胆して泣く。
マンガを描き上げて意気揚々と出版社「中学館」に持ち込むシズオだが、年下の担当編集者・村上政樹(濱田岳さん)に原稿をボツにされる。シズオは、アルバイト先のファストフード店でもミスを連発。年下の店長から「大人だよね。ちゃんとしようよ」と言われてしまう。挙句、人数合わせで参加した合コンでは、若い女性に「ちゃんとした方がいいと思いますよ」と言われる始末。憂さ晴らしで行ったバッティングセンターでホームランの的にボールを当てたシズオは、気持ちが高ぶるままに志郎と鈴子をたたき起こし、「俺、本気出すわ」と宣言するのだった…。
17歳の娘にお金を借りたり、息抜きと称してゲームに明け暮れ、幼なじみのサラリーマン・宮田修(生瀬勝久さん)にたかって飲み食いしたりで、本当にダメダメなシズオ。でも果てしなく前向きな性格で、どこか憎めない男です。
本作ではそんなシズオとともに、サラリーマンで安定した生活を送りながらも葛藤を抱える幼なじみ・宮田修(生瀬勝久さん)、若いのに人生を見限ったように無気力なフリーター・市野沢秀一(山田孝之さん)など、人生に悩めるシズオの周りの人たちの話も描かれます。
自堕落な生活を送りながらも危機感を持っている様子もないシズオに対し、周りの人たちはどうしようもない男と思いつつも、その前向きで自由な生き方にどこか憧れの念を抱き、やがて感化されて動き出します。
シズオに影響されて劇的に変化していく周りの人たちとは対照的に、シズオ自身はさほど変化がありません。極端に言えば、バイトでサブリーダーに昇進して時給が30円上がったぐらいです。主人公の成長物語になっていないところが斬新で驚きました。
福田雄一監督の作品ではおなじみのムロツヨシさんや佐藤二朗さんも出演していて、短い時間ながら味があって存在感あるキャラクターを演じていました。
シズオの脳内会議とでもいいましょうか、夢の中で神様(?)の自分とケンカしたり、32歳の頃のサラリーマンの自分、世捨て人風の若かりし頃の自分、ヤンキー高校生だった17歳の自分たちとケンカになったりする場面が面白かったです。
シズオと鈴子の親子関係も面白かったです。奔放すぎる父・シズオを温かい目で見守る娘・鈴子が本当に健気で、ある意味かわいそうでもあります。でもそんな2人が外で並んで歩き、シズオが「本気出していいですか~!!」と叫び、それに鈴子が「いいですよ~!!」と大声で答えて笑顔で顔を見合わせる場面があり、なんだか心が温まりました。

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