県庁おもてなし課 (錦戸亮さん & 堀北真希さん)

nishikidoryo06
horikitamaki08

映画『県庁おもてなし課』は、有川浩さんによる同名小説を映画化した作品です。同じく有川浩さんの小説を映画化した『阪急電車 片道15分の奇跡』の三宅喜重監督と脚本家・岡田惠和さんが再タッグを組んでいます。
関ジャニ∞の錦戸亮さんは掛水史貴 役で、堀北真希さんは明神多紀 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
全国的に観光への関心が高まる中、高知県庁は観光促進のために「おもてなし課」という新部署を設立した。やる気はあるけどちょっと頼りない若手職員・掛水史貴(錦戸亮さん)は、地元出身の人気作家・吉門喬介(高良健吾さん)に観光特使になってもらうよう依頼。ところが、最初のアプローチから1カ月以上も途中経過や状況報告もせずに放置していたために、吉門から“民間感覚”が足りないとダメ出しされてしまう。
「おもてなし課」は、吉門のアドバイスに従い、スタッフの中に公務員ではない民間の若い女性を入れることにする。掛水は総務でアルバイトをしていてもうすぐ契約が切れるという明神多紀(堀北真希さん)に目を付けてスカウトする。彼女は的確な状況把握力と予測力を持っていて、文句ばかり言って何もしない小役人よりずっと役に立つ人材だった。
吉門からもらったアドバイスを元に、掛水たちは、かつて独創的な観光プランを打ち出して県庁を追われることとなった伝説の元職員・清遠和政(船越英一郎さん)の力を借りることにする。現在、観光コンサルタントを務める清遠だが、何度電話しても本人に取りついでもらえなかった。そこで掛水と多紀は彼の家を直接訪れるが、父親を追いやった県庁を憎む、清遠の娘・佐和(関めぐみさん)に追い返されてしまう。
吉門の名前を出したおかげか、なんとか清遠に協力してもらうことになった「おもてなし課」。彼らに清遠が提唱したプランとは、県全体をアウトドア関係のレジャーランドにしてしまうという“高知県レジャーランド化構想”だった。かくして観光振興の一大プロジェクトが動き始めるのだった…。
掛水は実態調査を重ねるうち、故郷・高知の素晴らしさをあらためて知っていきます。吾川スカイパークでのパラグライダー、美しい山間を流れる清流・仁淀川に架かる浅尾沈下橋、仁淀川のカヌーなど、ダイナミックな映像で映し出される高知の自然が魅力的でした。
一大プロジェクトを進めていくために空回りしながらも頑張る掛水。そんな彼が、佐和から手料理を振舞われ、本当の“おもてなし”とは何かを考え始めるところが印象的でした。不器用だけど一生懸命な掛水の成長する姿に好感を持ちました。
励まし合い、時にはぶつかり合いながらも少しずつ距離を縮めていく掛水と多紀。そんな2人の淡い恋愛模様もよかったです。仕事の不安を吐露する多紀を励ますために、掛水が国分川に向かって絶叫する場面が印象的でした。
吉門が「おもてなし課」に肩入れしてきたのは、ある秘めた想いがあったからでした。掛水と多紀の恋愛同様、もう1つの恋愛模様も爽やかに描かれていてよかったです。
掛水と多紀、清遠や佐和、吉門はもちろんのこと、県庁の縦割りを動かそうと部長に必死にかけあう「おもてなし課」の課長・下元邦宏(甲本雅裕さん)、掛水の先輩職員で、愚痴りながら見積書と格闘する近森圭介(松尾諭さん)もいい味を出していました。
恋愛もさることながら、観光振興に関しても希望のある終わり方でよかったです。本作冒頭にある1987年春に若き清遠が“パンダ誘致論”を展開する場面、その現場に居合わせた“中浜”という名前の人物が後に…という表現が絶妙だと思いました。
主題歌は関ジャニ∞の「ここにしかない景色」です。本作のために書き下ろされた歌詞で、作品の世界観に見事にマッチしていました。その曲が流れるエンドロールでは、地元住民をはじめ、本物の「おもてなし課」の職員の人たちも映し出され、たくさんの笑顔が咲いていました。
2組の恋愛、親子愛、仕事への愛、故郷への愛など、たくさんの愛にあふれた心温まる物語でした。

page top