脳内ポイズンベリー (西島秀俊さん)

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映画『脳内ポイズンベリー』は、『失恋ショコラティエ』などで知られる水城せとなさんの同名漫画を実写化した作品です。『キラサギ』や『ストロベリーナイト』などの佐藤祐市監督がメガホンを取っています。
西島秀俊さんは、吉田 役で出演しています。
先日、試写会で鑑賞しました。昨日5月9日から全国公開されています。
●導入部のあらすじと感想
櫻井いちこ(真木よう子さん)は、会社を辞めて携帯小説を書いているアラサーだ。
ある日、いちこは、階段でペンダントを落とし、先月の飲み会で気になっていた年下男子・早乙女亮一(古川雄輝さん)に遭遇する。
声を掛けるか否か、いちこの頭の中では、理性を司る議長・吉田(西島秀俊さん)、ポジティブ思考の石橋(神木隆之介さん)、ネガティブ思考の池田(吉田羊さん)、感情に素直で衝動的なハトコ(桜田ひよりさん)、記憶担当の記録係・岸(浅野和之さん)たちが脳内会議を始めてパニック状態。
多数決をとり、吉田が取りまとめた結果、声を掛ける選択をする。さらに会話の流れから早乙女と一緒に食事をすることになる。過去に自分の方から男性にアプローチした経験がないいちこ。そのためデータが無くて議長・吉田は混乱して、「部屋が汚いらしいですね」といちこに失言させてしまう。
そのことで吹っ切れた吉田は、とことんキャラじゃないことをやることにする。その結果いちこは、早乙女の部屋の片付けまですることになり、女の痕跡であるカップケーキのイヤリングを発見してしまうのだった…。
アルバイトで生計を立てながらオブジェの制作をする美大出身の早乙女。出版社に勤めていて、いちこの携帯小説の書籍化を提案する越智(成河さん)。いちこはこの2人の男性の間で葛藤するのですが、その心情が主に〈理性〉〈ポジティブ〉〈ネガティブ〉〈衝動〉〈記憶〉という、5つの思考の擬人化によって描き出されていていました。それぞれの思考が脳内会議において意見をぶつけ合うことで、主人公・いちこの心の葛藤が可視化されるという寸法です。そのやり取りがコミカルで面白かったです。
黒のボンデージファッションに身を包んだ謎の女性(真木よう子さん)は、吉田が限界MAXになると脳内会議に現れて会議を乗っ取ってしまいます。5つの思考をあっという間に眠らせることができるその謎の女性も存在感があってよかったです。
多数派に従いがちな風見鶏で、会議をうまくまとめられずオロオロして情けなかった吉田ですが、ラストの方では「大事なのは、誰を好きかということではなく、誰と一緒にいる自分が好きかということだ」と言って、議長としての威厳を見せてくれます。吉田の成長が感じられて、なんだか嬉しかったです。
残念ながらいちこからはトキメキを感じてもらえない越智でしたが、そんな彼の「自分の作品を否定するというのは、頑張っている自分を否定すること」といった考え方も印象的でした。
自分に自信がなくて優柔不断だったいちこ。ラストではそんな彼女の成長が見られてすっきりしました。

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