寄生獣

migi

映画『寄生獣』は、1990年代に一世を風靡した岩明均さんによる同名漫画を実写化した作品です。
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』などの山崎貴監督がメガホンを取っています。
ミギーの声やパフォーマンスキャプチャーは、阿部サダヲさんが務めています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
ある日突然、小さな寄生生物・パラサイトが海辺に漂着する。その生物は鼻や耳の穴から人間の頭に侵入し、脳を奪って頭部全体と置き換わる形で寄生して全身を支配し、他の人間を捕食するという性質を持っていた。寄生後の頭部はもはや人間の姿ではないが、自在に変形して人間そっくりに擬態するのだ。彼らは高い学習能力で急速に言葉や知識を身につけ、人間社会に紛れ込んでいく。
いわゆるどこにでもいる高校生・泉新一(染谷将太さん)も、部屋で寝ている時に1匹のパラサイトと遭遇。鼻の穴から侵入されそうになるが抵抗したため、手の表皮から無理やり入られる。パラサイトは新一の脳を奪うことに失敗し、右手を食べて寄生する。驚愕して動揺する新一をよそに、パラサイトは自らを右手にちなんで「ミギー」と名乗り、奇妙な共同生活を始める。
新一はテレビのニュースから不可解な殺人事件が頻発していることを知り、パラサイトによるものだと察する。世間に対して真実を明かすべきなのではないかと葛藤する新一だが、ミギーは人間の命には興味がないとし、自らの正体が露見すれば、解明するために結局自分たちも殺されるはめになることを諭す。また、新一が死ねば自分も生きられないミギーは、新一が他のパラサイトに襲われた際は同種(=仲間)を殺すこともいとわない。
そんな中、新一の通う高校に田宮良子(深津絵里さん)に寄生したパラサイトが新任教師としてやって来る。そのパラサイトはずば抜けた知能と高い戦闘能力を持っていた。そんな田宮は、特殊な寄生状態である新一とミギーのことを見抜き、実験材料として興味を抱く。それからパラサイトのA(池内万作さん)と島田秀雄(東出昌大さん)を新一たちと引き合わせる。さらに新一たちを監視するために島田を新一のクラスに転入生として送り込む。一方、事情を知らないクラスメイトの村野里美(橋本愛さん)は、パラサイトとの戦いによって変わり始めた新一に困惑するのだった…。
平凡な高校生だった新一は、右手に宿ったパラサイトのミギーと共に、人類の命運をかけた戦いに巻き込まれていきます。VFXを駆使したパラサイトの変形や人間捕食の描写などが衝撃的でした。新一とCGのミギーのやり取りも、別々に撮影したとは思えないほどスムーズでいい味を出していました。
好奇心旺盛で理論的な性格のミギー、人間との共存を模索する田宮良子、変貌していく新一に困惑しながらも信じて気にかける村野里美、理性的な紳士を装いつつ新一を観察する島田秀雄、ミギーが取りついてからの新一の変化に気づいて心配してくれる母・信子(余貴美子さん)、ある野望を持って市長選に出馬した広川剛志(北村一輝さん)、新一とミギーを尾行するフリーライター・倉森(大森南朋さん)、そして、すべての素性が謎に包まれている後藤(浅野忠信さん)など、新一を取り巻く登場人物たちも物語にアクセントを与えています。
冒頭と終盤で田宮が語る「人間の数が半分になったら、燃やされる森の数も半分で済むのだろうか。人間の数が100分の1になったら、垂れ流される毒も100分の1になるのだろうか」という言葉も印象的でした。ミギーは人間の最も理解できないこととして“わが身を犠牲にして他者を救う”点を挙げていましたが、果たして現代の人間にその精神は宿っているのでしょうか。ミギーと同じように自分の命以外はどうでもいいと思っている人が多いのではないかと考えさせられました。
本作は2部作の前編にあたります。自分たちの存在意義に疑問を持って実験と称して人間の子どもを妊娠中の田宮、市政に進出してパラサイトネットワークの拡大と繁栄を目論む広川、人間を食い殺すことが使命だと思っている後藤、そして、母の一件から寄生生物を片っ端から殺していくことが自分のやるべきことだと思い込む新一。そんな彼らがどんな展開を迎え、どのような結末へと向かっていくのかが気になります。『寄生獣 完結編』は来年2015年4月25日公開予定です。