キック・アス (クロエ・グレース・モレッツ)

hit-girl

映画『キック・アス』(Kick-Ass)は、マーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrによる同名コミックをマシュー・ヴォーン監督が実写化した作品です。
クロエ・グレース・モレッツは、美少女ヒーローであるヒット・ガールを熱演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
コミックのスーパーヒーローに憧れるデイヴ・リゼウスキ(アーロン・ジョンソン)は、自分で本物のヒーローになろうと思い、インターネットで買った緑と黄色のコスチュームを着て、“キック・アス”としてパトロールを開始する。何の特殊能力も持たないデイヴはあっさり暴漢に刺されて車に轢かれ、病院送りとなってしまう。救命の人にコスチュームのことを秘密にしてもらうお願いをしたところ、裸で倒れていたことになってしまい、ゲイ疑惑の噂が広がってしまう。しかし、学校一の美少女のケイティ(リンジー・フォンセカ)がゲイの友人を欲しがっていたために、デイヴは友人として交流を持つことに成功する。しかも、ケガの治療で金属板を入れるはめになったデイヴは、神経が鈍くなり、痛みに耐える能力を手に入れた。
デイヴは懲りずに危険を承知でパトロールを再開。今度は暴漢の集団にボコボコにされるが、それを近くで目撃していた若者が動画撮影し、映像をYouTubeにアップロードしたところ、なりきりヒーロー“キック・アス”の捨て身の活動は一躍有名になる。
やがて高度で本格的な訓練を受けた娘と父の自警団ペア“ヒット・ガール”(クロエ・グレース・モレッツ)&“ビッグ・ダディ”(ニコラス・ケイジ)と共に、デイヴは犯罪組織に立ち向かうことになるのだった…。
目を背けたくなるような残虐なシーンがあったり、道徳的に気になる部分もあり、万人に対しておすすめできるというような作品ではありませんが、エンターテインメントとしてよくできていると思いました。
この作品のテーマをあえて挙げるとすれば、傍観者になってはいけないということでしょう。主人公・デイヴは、悪事を働いている人を見て見ぬふりをする傍観者になりたくないという信念で立ち上がったのです。さらにデイヴは、力が無ければ責任は伴わないという考え方を否定します。つまり、力の無い普通の人にも何か出来ることはあるはずだから、やってみることが大切だということでしょう。やる前から自分で無理だと結論を出してやらないことが多い私には耳が痛かったです。
そして何と言ってもヒット・ガールが印象的でした。可愛らしくて、強くて、そして冷徹な11歳の少女・ヒットガール。憎き悪を討つという面においては頼もしい限りですが、復讐のために父親に殺人兵器として育てられ、どんなに残虐な殺人を繰り返しても罪を感じることができない少女という側面からみると、なんとも悲哀を感じてしまいます。復讐を遂げ、ヒット・ガールはミンディとして日常に戻りますが、人殺しをしてきたことに対する罪悪感のようなものは恐らく無いでしょう。彼女の中ではあくまでも悪を消したに過ぎないのです。その辺はなんとなく消化不良に感じましたが、この映画はそういうものだといえなくもないですし、続編の可能性を考えるとそれでいいのでしょう。