チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像 (伊藤淳史さん & 仲村トオルさん)

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映画『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』は、海堂尊さん原作の小説を映像化したフジテレビ系列のドラマ『チーム・バチスタ』シリーズの最終作として制作されたものです。
伊藤淳史さんは田口公平 役で、仲村トオルさんは白鳥圭輔 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
とある火葬場で、遺骨と一緒に手術用の器具・ペアン鉗子が発見される。
一方、東城医大病院心療内科の特別愁訴外来担当医のグッチーこと田口公平(伊藤淳史さん)は、自衛官の制服を身にまとい、戦車の上で敬礼をしていた。それは国際Aiセンタープロジェクト(Ai=Autopsy imaging:死亡時画像診断)の一環だった。日本初となるAiセンター発足の目玉として導入される巨大な最新のMRI装置“リヴァイアサン”を自衛隊の力を借りて輸送するパレードがおこなわれていたのだ。仕掛け人は厚生労働省の白鳥圭輔(仲村トオルさん)だ。戦車から降りた田口は、人だかりの中に桜宮すみれ(栗山千明さん)の姿を見つけるが、ジャーナリスト・別宮葉子(桐谷美玲さん)らマスコミの応対をしている間に見失ってしまう。
国際Aiセンタープロジェクトは、国と自治体、東城医大が三位一体で取り組む死因究明システムの一大改革だ。Ai導入を推進する白鳥とその補佐を任された田口は、こけら落しとなる大講堂でのシンポジウムに向けて奔走中だった。Aiセンター顧問に着任することになった東堂文昭(生瀬勝久さん)もリヴァイアサンの磁場調整に励む。厚生労働省で白鳥にとって唯一の味方である上司の船橋直樹(中丸新将さん)が、友人である東堂を呼んでくれたのだ。東堂はマサチューセッツ医科大学上席教授で、MRI診断領域の第一人者だ。
そんな中、船橋が別荘の地下で遺体となって発見される。しかも発見されたのは船橋を含む9人の遺体だ。現場で唯一生き残っていた榊陽一(二階堂智さん)もひん死の状態で、すぐさま東城医大救命救急センターに運ばれた。船橋たちは外傷がなく毒物も薬物も検出されなかった。家も荒らされている様子がなく、ブレーカーが落ちて外部との連絡手段が閉ざされていた。警察の玉ちゃんこと玉村誠(中村靖日さん)は、不運な事故かもしれないと見解を述べるが、白鳥は、10人の人間を狙った集団殺人であるとにらむのだった…。
今回は、9人の集団不審死に加え、「三の月、東城医大とケルベロスの塔を破壊する」との脅迫状が届く事件が発生。田口&白鳥のバチスタコンビがその謎に挑んでいきます。
完結編だからか歴代キャストも多く登場していて、シリーズファンとしては嬉しかったです。特に救命救急センターの“ジェネラル・ルージュ”こと速水晃一(西島秀俊さん)や滝沢秀樹(松坂桃李さん)は、意外と物語に絡んでいました。テレビドラマ時は研修医だった滝沢も、速水の薫陶を受けることによって救命の道に進み、立派な救命医となっていました。速水の“患者を救うことに全力を注ぐ”という精神も健在で頼もしかったです。
先月まで放送されていた連続ドラマ『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』に登場した桜宮すみれが本作にも登場。父・巌雄を破滅させたAiと白鳥を憎むすみれが、あることをきっかけにして産婦人科医として目覚める場面が印象的でした。
本作初登場の医療ジャーナリスト・葉子は、普段は明るく快活な感じで田口からは慕われますが、ある信念の持ち主で白鳥とは対峙します。そんな葉子に対し、あの温厚な田口が「命を捨てるな!生きたくても生きれない人が大勢いるんだ!」と言って叱る場面も印象的でした。
印象的と言えば、本作でとても心に残っているのは、葉子の紹介で田口と白鳥が面会した老人・根本(品川徹さん)が言った言葉です。薬の副作用で10年も寝たきりの根本は、息も絶え絶えに「誰を憎めばいい」と言ったのです。白鳥が言うように、薬の認可には安全性と患者の利益といったいわば相反する問題があります。副作用を恐れるあまり認可に時間をかけ過ぎても救える命を失う場合もありますし、本当に難しい問題です。いろいろと考えさせられました。
白鳥の、相手を追いつめてわざと怒らせて本音を吐かせる能動的かつ攻撃的な聞き取り法“アクティブフェーズ”も健在でした。本作ではなんとそんな白鳥のある過去が暴かれ、白鳥は辞職まで考えます。それを察した田口は「(過去の出来事があった)おかげで嫌われ者のゴキブリ厚労省が誕生したんだから」と言って励まして、白鳥の辞表を破りました。完結編ということもあって、今までの二人の軌跡が思い出されて感慨深かったです。
原作である同名小説が、いわゆる“田口・白鳥シリーズ”の最終作となっているので、本シリーズもFINALと銘打っているのでしょう。物語としてはまだ続けることができるような終わり方でした。