家族ゲーム 最終回

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フジテレビ系列にて毎週水曜夜10時から放送されていた連続ドラマ『家族ゲーム』は一昨日、最終回(第10話)を迎えました。
●あらすじと感想
田子雄大(櫻井翔さん)が沼田家に再び訪れたのは、家中に仕掛けていた盗聴器とカメラを回収するためでした。高校を辞めたら田子の言うことを1つ何でも聞くと約束していた慎一(神木隆之介さん)は、田子から「家族を再生させろ」と真顔で言われました。
慎一は再び水上沙良(忽那汐里さん)に会いに行き、なぜ田子が自分を不幸に追いやった吉本荒野になりすましたのかを尋ねます。それが田子が家庭教師になった理由だと答える沙良は、今回の依頼を受ける際に教えてもらったという田子の話を明かします。
自殺した真田宗多(吉井一肇さん)のことで教師に限界を感じた田子は学校を辞め、2年ほど自ら死を求めるかのごとく世界の危険な地域を回り、実際に何度も死にかけて自分が強くなるしかないと悟りました。そして「世の中の悪意をすべて断ち切ることはできない。でも悪意に立ち向かって生きる人間を育てることはできるんじゃないか」という思いに至った田子は、二度とあの悲劇を繰り返してはいけないと心に誓い、真田のように純粋で優しい人間でもたくましく生きていけるように、悪意の体現者として世の中のあらゆる悪を生徒にぶつけるために“吉本荒野”になることにしました。その教育は学校の教師ではできないと思った田子は家庭教師になることに決めたのです。
田子は、自分が悪意の体現者となって生徒と向き合うことにより、実際に3人の生徒を更生させていました。そんな中、沼田家から家庭教師の依頼があり、沼田家の調査をしていくうちに、茂之(浦上晟周さん)という第二の真田宗多になり得る生徒の他に、慎一という第二の吉本荒野がいることに気づいて、田子は初めて沙良に協力を依頼しました。挫折を知らずに育って、人の痛みが分からない怪物になった吉本荒野と慎一をだぶらせた田子は、慎一にいろんな経験を積ませようとしたのです。人を殺したことがあると慎一たちに言っていた田子。沙良はその相手を慎一に明かし、それを聞いた慎一は涙を流しました。
慎一は家族を集めて、沙良から受け取った田子の沼田家・家庭教師記録ノートの中身を発表しました。そこには、「第二の吉本荒野になる可能性がある慎一を更生させるには、家族の意識改革が急務であり、そのためには最悪の場合、家族を崩壊させるところまで追い込まなければならないかもしれない」という記載で始まり、「“絆”って言葉が気軽に手軽に使われている世の中だ。家族の絆だって自然に存在するもんだと思ってたんだよなあ。そんなわけねぇだろ!! 互いにひざを突き合わせて、自分の思いを口で手で目で心で伝えてこそ初めて存在するもんなんだよ。それを何度も繰り返して築き上げていかなきゃ強くならない面倒臭いもんなんだよ。いじめられていることも、自分を偽っていることも、家に居場所がないことも、息子が何を考えているのか分からないことも、相手に伝える努力もしないで家族だから言わなくても分かるなんて、おまえらエスパーかよ!! そんなもんは単なる幻想なんだよ」という沼田家一同に向けたメッセージがあり、「“破壊”の後に“再生”があると信じてるなら教えてやるよ。“絆”のない家族に再生なんてあるわけがない。おまえらは、俺が仕掛けたゲームに負けたんだよ。こんな家族、消えてなくなればいい」という言葉で締めくくられていました。
田子の意見に返す言葉もない沼田家ですが、このまま田子の思惑通りになってたまるものかと思ったからか、自分たちの問題に向き合って立ち上がります。茂之は同級生・山尾泰司(西本銀二郎さん)へのいじめをやめさせるよう、三井拓海(江口祐貴さん)たちを説得し、「死を意識して初めて生きている実感がわく。生きている実感があって初めて人に優しくなれる」という田子の言葉を引用して「俺も君も優しくなれるはずでしょ」と言って山尾に手を差し延べました。茂之はようやく強く変われたのです。茂之に呼び出されてその様子を見ていた家族も奮起します。そして沼田家は少しずつ絆を築き上げていきます。家と自動車を売却し、沼田家は引っ越しました。父・一茂(板尾創路さん)は無事就職先が見つかり、弁当屋の店長になりました。慎一は疎遠となっていた最上飛鳥(北原里英さん)に会って謝罪し、告白をして関係を取り戻し、高校の編入試験を受験して合格しました。茂之は同級生・園田満(松島海斗さん)とともに成邦館高校を受験して見事合格しました。息子が成人するまでは離婚を見送ることにした母・佳代子(鈴木保奈美さん)は家事をしっかりやってパートも始めました。
そして迎えた5月26日。慎一は田子の昔の教え子・真田が亡くなった山小屋を訪れます。沙良から真田の命日であるその日に山小屋に行けば、田子に会えるかもしれないと聞いていたからです。山小屋の中で田子は花を手向けて、手を合わせていました。外で待ち伏せていた慎一は、田子が山小屋から出てくるとにらみつけてナイフを向けたものの近くの木に刺し、「あんたを殴りに来た」と告げます。慎一は田子に殴りかかりますが、全部かわされて突き飛ばされてしまいました。慎一は沙良から聞いたことを田子に投げかけます。自分が殺したのは真田宗多であると平然と口にできるのは、田子がそれだけ“吉本荒野”として生きているということであると声を荒げて指摘。続けて「それが何を意味するのか。彼女(=沙良)が悲しそうに言ってたよ。あんたが本当に殺したのは、“田子雄大”あんた自身だよ!! あんたは第二の真田宗多、吉本荒野を生まないために、8年前、ここで自分を殺した。そして悪意の体現者として、俺たちの目の前に現れた。そして俺たちを容赦なく壊していった。家族を崩壊させておいて、それが今さら俺たちのためだなんて納得ができると思うか!! あんたのやり方は間違ってんだよ!!」と言って田子につかみかかり、「なんでそこまで自分を犠牲にするんだよ!!」と泣きながら殴りました。再び突き飛ばされる慎一ですが話を続けて「あんたのせいで家を失った。あんたのせいで俺は高校を辞めることになった。あんたのせいで家族が壊れた。あんたのせいで…あんたのせいで家族に絆が生まれた。…ありがとうございました!!」と言って頭を下げました。すると、田子は久しぶりに吉本荒野ではなく“田子雄大”として心から笑うのでした…。

エンディング後、山小屋からの帰り道、慎一は、沙良と再会できたのは、田子の部屋に置いてあった劇団のチラシがきっかけであることを話し、「もしあなたがわざとチラシを置いてったとしたら、俺が8年前の胸打つエピソードに共感して家族の再生に乗り出すところまで予測できたんじゃないかって。彼女が教えてくれた8年前の真相は、本当に真実なんですか?」と尋ねます。すると田子はいつもの吉本荒野の表情に戻り、「いいね~」と言ったところで物語は幕を閉じました。まあ、慎一の深読みであってほしいところですが、吉本荒野(本名:田子雄大)の新たな物語の可能性が感じられて、それはそれで面白かったです。
田子が吉本荒野(忍成修吾さん)の母親に言った「人間にはルーツがある。親から、そのまた親から受け継がれた“教育”によって今の自分がある。つまり、多くの怪物は突発的には生まれない。吉本荒野というモンスターを作り出したのも、他ならぬあなたなんですよ。彼(=吉本荒野)もまた被害者なのかもしれません」というセリフが印象的でした。“教育”について改めて考えさせられました。