家政婦のミタ 最終回

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日本テレビ系列にて毎週水曜夜10時から放送されていた水曜ドラマ『家政婦のミタ』が昨日、最終回(第11話)を迎えました。
●あらすじと感想
阿須田家の希衣(本田望結さん)たちから「お母さんになって」と懇願された家政婦の三田灯(松嶋菜々子さん)は、意外にもあっさり引き受けました。
ところが、阿須田家の“お母さん”となった三田は子どもたちに厳しく接して“現実”を見せます。それから恵一(長谷川博己さん)が食事中に倒れて入院したことを皮切りに、なぜか子どもたちの周りでも不運なことが次々と起こり、阿須田家には不穏な空気が漂い、子どもたちは三田の態度に不信感を抱き始めます。
そんな子どもたちが頼ったのは、叔母の結城うらら(相武紗季さん)でした。結たちから事情を聞いたうららは、見合い相手・大場(勝地涼さん)との結婚を決め、いよいよ結婚式が始まるという時でしたが、式を投げ出して三田のもとに抗議に行きました。三田は子どもたちに本当に必要なのは自分かうららかどちらかを選ぶよう迫り、結(忽那汐里さん)たちはうららを選びました。うららがババを引いて災難や不幸から阿須田家を守ってくれてたという考え方はどうかと思いましたが、うららが結たちのことを大切に思ってくれてたことに子どもたちがようやく気づいたようでよかったです。
うららは、三田の言動・態度は結たちの方から出て行ってほしいと思わせるためにわざとやったことだと気がつきました。うららは、家を出て行った三田を追いかけてそのことを問い詰め、自分なんかより三田の方が結たちには必要なのだと主張します。すると、三田はうららに何度もビンタを浴びせかけました。それに対し怒ってうららがやり返すと、三田は「そうやって怒ってください。泣きたい時には泣いてください。気を遣って無理に笑顔を作ることはやめてください。ご機嫌を取ったり顔色をうかがうようなこともやめてください。あの人たちの家族になりたいのなら、本当にあの家族を守る気なら」と言い、さらに「あなたは旦那様の妻にはなれないかもしれない。子どもたちの母親になれないかもしれない。でも保護者にはなれます。“私がなんとかするから”、“人を憎むより好きになってほしい”、“大丈夫だよ。ハートでぶつかっていけば”、今まであなたが言ってきたことは全部正しいんです。ただ、伝え方が間違っているだけです。これからは甘いだけじゃなく厳しいことも言ってください。今までのようにあなたがババを引いてあの家族に降りかかる災いをすべて跳ね返してください。そして、最後にはいつもあなたの笑顔でみんなを包んでください。あなたは私のようになっては絶対だめです」と伝えました。うららは「分かった。私はずっと笑顔を忘れずに生きていく」と言って微笑みました。
うららの結婚は無かったことになったようです。結婚式場へキャンセルに関する問い合わせに来ていたうららと恵一は、元結婚相手・大場に会い、「実は付き合っていた彼女が父親に逆らえなくて見合い相手と結婚するからと言うから、僕もヤケになって」と打ち明けられます。そして、うららを見て勇気が出たと言う大場は、いきなり結婚式場に乗り込んで、映画『卒業』のラストシーンのように花嫁を奪い去っていきました。さらに面白かったのはその後です。花嫁を追いかけて式場から出てきた新郎は、恵一の前の会社の部下・名取(関戸将志さん)でした。名取は常務の娘と婚約して恵一の不倫相手・風間美枝(野波麻帆さん)を捨てたのですが、式場から連れ去られたのはまさにその常務の娘だったのです。ちなみに田舎に帰ったはずの美枝は、親に会社を辞めた理由を話したところケンカになり、のこのこ戻ってアルバイトをしていました。阿須田家の人たちと遭遇した美枝は、気まずそうにそのことを説明し、「奥さんを自殺させるようなことをしたから罰が当たったんですね」と言います。それに対し結たちは「お母さんは自殺じゃありません。事故です」と胸を張って言います。海斗(綾部守人さん)は「だからもう自分を責めるようなことやめてください」と言い、希衣は折り紙のサンタを渡しました。本当に阿須田家の人たちは成長しました。夫に離婚されて息子・翼(中西龍雅さん)の親権も奪われた上に家を追い出され絶望する隣家の主婦・皆川真利子(佐藤仁美さん)に、恵一は「あきらめちゃだめですよ。僕みたいな最低の父親でもこの子たちを取り戻すことができたんだから。翼君のお母さんはこの世であなた一人なんだから」と声をかけました。それに対し真利子は「無理よ。奇跡でも起きない限り」と言いますが、三田は「奇跡というのは、普通に考えれば絶対起きないことが、そうなってほしいと願う人間の強い意志で起きることです。奇跡は起こるから奇跡と言います。“自分には無理だ”とあきらめている人には絶対起きません」と説明しました。真利子はその言葉に勇気づけられたようで、泣きながら追いかけてきた翼と「また一緒に暮らせるようにする」という約束をしました。
阿須田家の人たちが三田にお願いして最後に一緒に過ごすこととなったクリスマス・イヴ。三田も一緒に食卓を囲みました。結たちは再度うちにいてくれるよう頼みますが、三田は所長が沖縄で新しい家政婦紹介所を開くことになり明日出発すると言います。その代わりに三田は、恵一の「僕たちのために、いや亡くなったご主人や息子さんのために笑ってほしい」という業務命令に従いました。アルカイックスマイルのような微笑を見せる三田に、恵一は「三田さん、約束ですよ。これからはどこの家に行っても必ず自分の意思で動くって」、結は「言われたことは何でもやるとか言って、うちでやったような危険なマネは絶対しないでね」、翔(中川大志さん)は「俺、三田さんの料理食べたくなったら、会いに行ってもいいかな?」、海斗は「俺、私立行って友達いっぱい作ったら、また花丸してね」、希衣は「希衣強くなる。みんなを守れる強い子になる。だからまた会いに来てね」と言い、三田はそれぞれに「承知しました」と答えました。それからみんなは感謝の言葉を述べ、困った時は自分たちを頼るよう言いました。三田は涙ながらに「承知しました」と答えました。
翌日、みんなと最後のお別れをする約束をした三田は、阿須田家の近所のバス停に行きました。三田と別れるのが辛いからか、具合が悪いとのことで希衣は姿を見せませんでしたが、後からバスを追いかけてきました。三田と同乗していた所長・晴海明美(白川由美さん)が気を利かせて「お腹が痛い」と演技してバスをとめてもらい、三田だけがバスを降りました。希衣は三田に見立てた石を三田に渡しました。それは希衣が三田との別れを受け入れたことを意味するのでしょう。すると、三田はお礼を言って、折り紙のパンダを渡しました。そのパンダには「わたくしは、キイさんのことがだいすきです」と書いてありました。希衣は泣きながら三田に抱きつきました。うららと阿須田家のみんなも後から駆けつけ、三田は「お世話になりました」と言って去っていきました。
それからうららと阿須田家のみんなは、亡きお母さんの歌「木を曲がり、進んだら、みんなが待ってるおうちです」を歌いながら、ある場所に戻ります。それは阿須田家にとって大切な道しるべとなる“北極星”〈=我が家〉です。家の前には、結たちの祖父・結城義之(平泉成さん)がすき焼き用のうまい肉を買って待っていました。
後日、三田は別の家を訪れます。なんだか荒れた雰囲気の家です。三田は腕時計できっちり時間を確認し、希衣にもらった石を見つめてから玄関に向かい、ドアの向こうの人に「晴海家政婦紹介所から参りました、家政婦の三田です」と挨拶をしました。次の家政婦先の家に行ったところで終わるのは、市原悦子さん主演の人気シリーズ『家政婦は見た!』へのオマージュでしょう。
最終回は手堅くまとめたという印象を受けましたが、うららや隣の家はもちろんのこと、恵一の不倫相手や憎き元部下のその後まで描かれていてよかったです。そして何より、強引な流れではありましたが、三田の笑顔を見ることができてほっとしました。夫と息子を死なせてしまった十字架は一生背負っていくしかないと言う三田ですが、阿須田家の人たちのおかげで取り戻すことができた小さな灯りを頼りに家政婦として自分の意思で働いていくとも話していました。実は阿須田家の人たちと三田はお互いに“生きる勇気”を与え合っていたというのが感慨深かったです。三田が12月25日生まれで苗字が“さんた”と読めるという設定も感心しました。
全体を通して笑いとシリアスのバランスがよく、随所に意外性もあって面白かったです。