鍵泥棒のメソッド (香川照之さん)

kagawateruyuki

映画『鍵泥棒のメソッド』は、『運命じゃない人』『アフタースクール』の内田けんじ監督の最新作です。
香川照之さんはコンドウこと山崎信一郎 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
几帳面な女性編集長・水嶋香苗(広末涼子さん)は、突然職場のみんなに結婚宣言をし、まだ相手がいないことを伝え、協力を仰ぐ。
一方、ボロアパートに一人暮らし、役者として全く芽が出ず無職で家賃も滞納中の桜井武史(堺雅人さん)は、自殺を試みるも失敗する。それから財布の中身を全部出し、くしゃくしゃになった銭湯の無料券を見つけ、イヤな汗もかいたことだし気分転換にと銭湯に向かう。
同じ頃、荘厳なクラシック音楽を聴いてから鮮やかな手口で裏稼業を実行したコンドウ(香川照之さん)は、渋滞にはまり、銭湯の煙突を目にして、先ほどの仕事で付いた汚れを落とそうと銭湯に寄ることにする。
桜井とコンドウが入った銭湯は同じだった。桜井が黙って拝借しようとした隣の人の石鹸は床を滑り、コンドウがその石鹸を踏んでしまって滑って宙を舞う。転倒して頭を打ったコンドウは意識を失ってすぐさま病院に運ばれる。そのどさくさに紛れて桜井は、転倒した男・コンドウのロッカーの鍵と自分のロッカーの鍵を交換し、コンドウになりすまして銭湯を後にするのだった…。
売れない貧乏役者・桜井と記憶を失った裏稼業の男・コンドウの人生が入れ替わり、そこへ婚活中の女性編集長・香苗も絡んで巻き起こる騒動を描いた喜劇です。
脚本も務める内田けんじ監督の作品といえば、時間軸を交差させた映像上のトリックが印象的ですが、本作は3人の物語がクロスオーバーするものの、いたってシンプルな作劇でした。とはいえ、先の読めない展開や予想外のラストは健在で、ニヤッとする笑いやハラハラドキドキの展開、後味の良いエンディングが用意されています。細部に張り巡らされた伏線の回収も見事で、脚本が実によく練られていると思いました。
社長の愛人・井上綾子(森口瑤子さん)が桜井に言った「あなたは本当に人を好きになったことがありますか?」というセリフが印象的でした。本作は大人のシュールなラブストーリーという側面もあり、コンドウと香苗の関係はもちろんのこと、桜井のある行為の動機にも絡んでいました。香苗の姉は、30歳過ぎると胸がキューンとなるマシーンが壊れると言っていましたが、ラストではその胸キュンマシーンのサイレンが面白おかしく鳴り響きます。エンドクレジットの途中にもそのサイレンは発動しますので、ご覧になる方はお見逃しの無いようお気をつけください。
個人的には「全部納得して生きてる奴なんていないよ」というセリフに妙に共感を覚えました。そんな風に思うようになったのも、思えば30歳を過ぎたあたりだったのかもしれません。
結婚を前提に私と一緒に頑張ってくれる健康で努力家の人、どこかにいませんかね…。

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