最強のふたり (フランソワ・クリュゼ & オマール・シー)

francoiscluzet
omarsy

映画『最強のふたり』(Intouchables)は、実話を基にしたヒューマン・コメディーで、本国フランスでは2011年に公開された映画の中でNo.1の大ヒット作となりました。ハリウッドでのリメイクも決定したそうです。
フランソワ・クリュゼは大富豪のフィリップ役で、オマール・シーは黒人青年のドリス役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
不慮の事故で頸髄を損傷して首から下の感覚が無く、体を動かすこともできない大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、住み込みの新しい介護者を探していた。
介護者選びの面接でフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てという不届き者のドリス(オマール・シー)と出会う。フィリップは、翌日来れば不合格になったことを証明する書類にサインをするとドリスに告げる。
ところが、翌日ドリスが邸宅に訪れると、彼の採用が決まっていて、介護に関するレクチャーを受けることになるのだった…。
スラム街出身で無職の黒人青年ドリスと、パリの邸宅に住む大富豪の紳士フィリップ。そんな対照的な2人がぶつかり合いながらも、次第に友情を育んでいく物語です。
常識や偏見に縛られないドリスは、障害者であるフィリップに対して容赦無い言葉や態度を見せて同情のかけらもありません。でもそれがフィリップにとっては有難かったようです。確かにそれはドリスがフィリップを病人としてではなく、一人の人間として扱っていることを意味していました。かと言ってドリスは介護をなおざりにしていたわけではありません。幻想痛に苦しむフィリップをドリスが外に連れ出す場面が印象的でした。
偽善を好まないという共通点があったフィリップとドリスは、お互いを受け入れることによって世界を広げ、共鳴を深めていきます。その過程がなんとも面白くもあり清々しくもあり、感動的でした。ドリスはフィリップに生きたいという気持ちを取り戻させ、フィリップはドリスに“実用的”という概念を教えます。ドリスの「駐車禁止」を促す方法が変わったところが印象的でした。
フィリップの秘書・マガリ(オドレイ・フルーロ)やフィリップの助手・イヴォンヌ(アンヌ・ル・ニ)もいい味を出していました。特にマガリがドリスになびかない理由が明かされる場面が面白かったです。
物語の起伏が少なく、派手さはないものの、じんわりと心に染みてくる後味の良い映画だと思いました。