ゴースト・イン・ザ・シェル (スカーレット・ヨハンソン)

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現在公開中の映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(Ghost in the Shell)は、士郎正宗氏の漫画『攻殻機動隊』を原作とし、ルパート・サンダースが監督を務めて実写映画化した作品です。
スカーレット・ヨハンソンは、ミラ・キリアン少佐 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
人間と機械の境界が消えゆく未来。ミラ・キリアン(スカーレット・ヨハンソン)は、“プロジェクト2571”と名付けられた極秘計画で、脳移植によって全身義体にされた。ハンカ・ロボティックス社の開発推進責任者であるオウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)いわく、難民ボートがテロリストに襲われて転覆し、唯一打ち上げられたミラは脳だけ助かり、両親は死亡したとのこと。
1年後。ミラはサイバー犯罪やテロ行為を取り締まる捜査組織「公安9課」にて、少佐として日夜任務を遂行していた。そんな中、義体技術を推し進めるハンカ・ロボティックス社に対してテロを仕掛ける集団が現れる。
少佐は情報の手掛かりを得るために、周りの反対を押し切って、テロ事件の現場で暴走した芸者ロボットの電脳内へ直接ダイブする。テロ集団のボスとみられるクゼ(マイケル・ピット)らしき人物と対面し、逆にハッキングされて窮地に陥るものの、同僚のバトー(ピルー・アスベック)のおかげでなんとか切断できてダイブから抜け出す。
その後、少佐たちは、ダイブでの手掛かりをもとにナイトクラブ「サウンドビジネス」を訪れる。怪しげな連中に絡まれる少佐とバトーだったが、それぞれ奮闘して難を逃れる。それからクゼと思しき男を追って建物奥へと入っていくが、それは幻で罠だった。仕掛けられていた爆弾が爆発し、少佐とバトーは吹き飛ばされるのだった…。
漫画『攻殻機動隊』を原作とする作品は、これまでにも劇場用アニメ映画やテレビアニメ、小説、ゲームなど様々展開されています。士郎正宗氏の原作版と、押井守監督の映画版、神山健治監督のS.A.C.シリーズ、黄瀬和哉総監督の『ARISE』などでは、時代設定や主人公・草薙素子のキャラクター設定、ストーリーを始め多くの相違点があり、それぞれが原作を核としたいわば別作品となっていて、本作もそれに当たります。全体的には、特に押井守監督の映画版から強い影響を受けているように感じました。
本作は、原作やアニメに比べると深淵なテーマ性が薄まっているものの、その分理解しやすくなっていて、さすが多額の製作費がかかっているだけあって、映像等も世界観がしっかり表現されていて凄いと思いました。
冒頭はテロ集団と公安9課の激しい戦いがクローズアップされ、そこへ、脳に残されたわずかな記憶から過去を模索する少佐のドラマが絡み合っていきます。少佐の正体やクゼとの関係性など、伏線の回収も見事で面白かったです。
舞台となっている未来都市は、ロケ地でもある香港の雰囲気が強く出ていますが、日本語の看板や芸者を思わせる巨大ホログラムが登場したりするなど、和と洋が入り混じったビジュアルとなっていました。原作を生んだ日本へのリスペクトが感じられてよかったです。
全身を義体化されたいわゆるサイボーグである少佐の身体能力は超一級です。高層ビルからの背面ダイブや窓ガラスを突き破ったりして繰り広げられるガンアクション、光学迷彩スーツによる透明化での格闘、多脚戦車とのバトルなども見応えがありました。
公安9課の創設者であり総理大臣とのパイプを持つ荒巻大輔(ビートたけしさん)や、実はミラと深い関係がある女性(桃井かおりさん)も存在感がありました。
人間は過去の記憶に自分の証を求めるが、これからの行動が自分を決めていくのだというメッセージも印象的でした。