ジーン・ワルツ (菅野美穂さん)

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映画『ジーン・ワルツ』は、『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』の原作者で現役医師でもある海堂尊さんの同名小説を映画化した作品です。
菅野美穂さんは、曾根崎理恵 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
医療の最高峰と名高い帝華大学病院。その医師である曾根崎理恵(菅野美穂さん)は、研究や講師の傍ら非常勤の医師として産婦人科医院・マリアクリニックに勤務していた。マリアクリニックは閉院が決まっていた。それはマリアクリニックの院長・三枝茉莉亜(浅丘ルリ子さん)の息子である久広(大森南朋さん)が妊婦を術中死させたとして逮捕されてその煽りを受けた上に、茉莉亜が末期の肺癌に侵されて床に臥しているからだ。理恵は院長代理としてマリアクリニックの最後の患者となる4人の妊婦たちと向き合っていた。
一方、理恵の上司で、教授の地位が約束されたエリート医師・清川吾郎(田辺誠一さん)は理恵がマリアクリニックで禁断の治療をしているという不穏な噂を聞きつけ、理恵の周辺を探り始めるのだった…。
医療ミステリーというよりは、産婦人科医療の現実をテーマにした社会派ヒューマンドラマといった趣でした。近年の医師不足による妊婦たらい回し事件や医療事故、不妊治療問題などに触れ、少子化が進む現代の日本に問題を投げかけています。
物語の中心は、曾根崎理恵と、彼女がサポートする年齢も境遇も異なる妊婦たちです。理恵も妊婦たちもそれぞれに深刻な事情を抱えていました。
原作小説の理恵は、患者に肩入れしない冷静さを持ち、その冷静な診察から“クール・ウィッチ(冷徹な魔女)”の異名を持つある意味恐ろしい女性です。映画では、理恵の葛藤や心の揺らぎのような部分も膨らませて描かれていて、内に秘めた情熱も割合好意的に捉えられるキャラクターになっていました。
基本的にはシリアスなシーンが多いのですが、マリアクリニックの看護師・妙高みすず(濱田マリさん)や、妊婦・荒木浩子(南果歩さん)の夫である隆(大杉漣さん)が程よく和ましてくれます。そして、やはり出産のシーンは胸打たれるものがありました。
理恵の取った行動や考え方には賛否両論あるでしょう。ただ、問題なく妊娠して母子ともに健康で五体満足な子が生まれてくることは、実は様々な難関を乗り越えて起こる奇跡なのだということは肝に銘じたいと思いました。