ちはやふる 下の句 (松岡茉優さん)

matsuokamayu

映画『ちはやふる-下の句-』は、末次由紀さんの同名漫画を実写化した2部作の後編です。
松岡茉優さんは若宮詩暢 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
綾瀬千早(広瀬すずさん)は、高校で再会した幼馴染の真島太一(野村周平さん)と一緒に瑞沢高校“競技かるた部”を作る。創部1年にして強豪北央学園に勝利し、東京都大会優勝を果たす。自分をかるたに導いてくれた綿谷新(真剣佑さん)に東京都大会優勝を報告する千早だが、新は衝撃的な告白をする。それは、かるたはもうやらないというものだった。
千早と太一は、真意を確かめるために福井県の新の家を訪れる。千早がまた3人でかるたをしようと誘うが、新はそれを拒絶する。大好きだった祖父が亡くなり、自分がかるたをやる意味を見いだせなくなってしまったからだ。新は、いわば永世名人である祖父のためにかるたをやっていたのだ。太一は千早に、新の意思を尊重するよう説得。とにかく自分たちは全国大会に向けて強くなって新を待とうと提案した。
千早は全国大会に向けて、競技かるた部の仲間たちと練習に励むことにする。そんな中、千早は、同じ高校生ながら最強のクイーンと呼ばれる若宮詩暢(松岡茉優さん)の存在を知る。そして全国大会の個人戦で詩暢と対決する可能性があると知った千早は、「クイーンに勝ちたい」と言い出す。詩暢に勝てば新ともう一度かるたを取れるかもしれないと考えたのだ。それからというもの、千早は詩暢との対決のことで頭がいっぱいになるのだった…。
千早の気持ちはすっかり詩暢との対決にとらわれ、競技かるた部の仲間たちから離れていってしまいます。そして、そんな千早の目を覚まさせようとする太一もまた、部長としての責任感から一人で背負い込んでしまい、大事なことを見落としていました。それに気付かせてくれたのは、競技かるた部の仲間・肉まんくんこと西田優征(矢本悠馬さん)、机くんこと駒野勉(森永悠希さん)、かなちゃんこと大江奏(上白石萌音さん)たちでした。
出稽古で北央学園の部員たちに大敗した千早も、やる気があるのかと“ドSの須藤”こと須藤暁人(清水尋也さん)から叱られますが、北央学園の先輩たちが作成してきた全国大会対策マル秘ノートを渡され、かるたは一人だけでやるものではないと諭されます。けちょんけちょんに罵りながらも、マル秘ノートを貸してくれて、自分たちを倒したのだから恥ずかしくない試合をしろと叱咤激励する須藤がなんだかカッコよかったです。
太一は、かるたの試合で流れが悪い時に立て直すコツを電話で新から教えてもらいました。それは、立ち上がって、かるたが一番面白かった時のことを頭の中で思い出すことで、新が今は亡き祖父から教わったものでした。太一は千早にそれを伝えます。そして、千早、太一、新がイメージする、かるたが一番楽しかった時は一緒でした。3人が小学生のころ一緒にかるたをやっていた時です。
千早と詩暢のかるたに臨む考え方が対照的なのも興味深かったです。千早は、仲間たちと切磋琢磨しながらかるたを研鑽し、個人戦においても“一人じゃない”という意識を持って戦います。それに対し詩暢は、そもそも団体戦はかるたを好きではない人がやることだと思っていて、かるたは一人で向き合うものだと考えます。千早の小学校時代のかるたの師匠である府中白波会会長・原田秀雄(國村隼さん)の「私はね。個人戦こそ本当の団体戦だと思うんだよ」という言葉が印象的でした。実際、個人戦で自分を取り戻した千早は、試合中に新と太一と肉まんくん、机くん、かなちゃん、かるた部顧問・宮内妙子(松田美由紀さん)たちと気持ちが繋がっていました。
“ちはやぶる”と“あらぶる”の意味の違いも興味深かったです。独楽(コマ)で例えると、高速回転するまっすぐな軸の独楽で、止まっているように見えながらどこにも偏りなく力が集中している状態が“ちはやぶる”。バランスが悪くぐらぐらと回っていて、いつ回転が止まってこけるか分からないような不安定な状態が“あらぶる”とのことです。個人戦でみんなの気持ちと繋がって落ち着いていて、ドタバタしていない千早のことを見て、肉まんくんや机くんは“ちはやぶる”の意味を理解しました。
本作の最後は、名人位・クイーン位決定戦のところで物語の幕は閉じ、その過程や結果は描かれませんでした。メインは全国大会だったのでそれも仕方がないと思っていましたが、なんと続編製作が決定したようです。どの続きが描かれるかはまだ分かりませんが、いずれにせよ楽しみです。

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