僕だけがいない街 (藤原竜也さん)

fujiwara04
映画『僕だけがいない街』は、三部けい氏の同名漫画を『ROOKIES-卒業-』などの平川雄一朗監督が実写化した作品です。
藤原竜也さんは、主人公・藤沼悟 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
2006年。売れない漫画家の藤沼悟(藤原竜也さん)は、ピザ屋のアルバイトで生計を立てながら漫画の持ち込みをしていた。彼には自身で“リバイバル(=再上映)”と呼んでいる特殊能力があった。それは、その後に起こる事件を未然に防がなければ、巻き戻って同じ時間を繰り返すという現象だった。
ある日、悟はピザの配達中にリバイバルが起きて、その原因はトラックの交通事故をめぐるものだと気付く。事故に巻き込まれることになる小学生を救った悟だったが、自身が対向車と正面衝突し、目覚めると病院のベッドの上にいた。幸い怪我は大したことなく、このことがきっかけで、事故を目撃したアルバイトの同僚・片桐愛梨(有村架純さん)と親しくなり、事故の知らせを受けて母・佐知子(石田ゆり子さん)も上京してくる。
後日、悟の身にまたしてもリバイバルが起こる。それは佐知子と一緒に買い物をして帰る途中で、悟に気付いた愛梨が駆け寄ってきた瞬間だった。悟はリバイバルの原因を見つけられなかったが、何か変な感じがしないかと悟から尋ねられた佐知子が、子どもを連れている男を見たところで、時は進み始めた。どうやらそのことによって何かが回避されたようだ。
翌日、悟がバイトから帰宅すると、佐知子が何者かによって殺害されていた。外に犯人の人影を見た悟は、必死に追いかけるものの見失ってしまう。さらに自分が犯人だと思われても仕方ない状況であると自覚した矢先、警察官に見つかって追いかけられる。そんな中、それまで経験したことがない規模のリバイバルが起きる。なんと悟が気が付くと目の前には18年前の景色があり、自身は小学生になっているのだった…。

18年前の1988年、それは悟のクラスメイト・雛月加代(鈴木梨央さん)が殺された年でした。当時、悟が住む北海道では連続小学生誘拐殺人事件が発生。雛月はその被害者の一人だったのです。悟は、その事件と母親が殺されたこととが関係あるのではないかとにらみます。そして、連続誘拐殺人事件を食い止めれば、リバイバルが終わって母親を救えると確信して動き出しました。
愛梨の「“言葉”ってさ。口に出して言ってるうちに、本当になる気がする」というセリフが印象的でした。そのセリフは、悟もその後口にすることとなります。単純に愛梨の受け売りというわけではなく、悟自身にも元々そういった考えがあったのでしょう。少年時代に友達ができずに独りぼっちでいた悟に、近所のお兄さん・白鳥潤(林遣都さん)が教えてくれたことと通ずるものがあるからです。白鳥は、クラスの人気者を参考にしてちょっとだけでも出来ることを真似して、恥ずかしがらずに勇気を持ってみんなに話しかけてみたらどうかとアドバイスしたのです。それは確かに雛月の言うように“ニセモノ”なのかもしれませんが、身について本当の“本物”になる可能性があります。大切なのは踏み込む勇気と、最後まで投げ出さず本当になるまでやり続けるということなのでしょう。悟が“守りたいもの”のために最後まで貫く姿勢が感動的でした。
物語は、映画オリジナルのエンディングでした。色々突っ込みどころがあり、かなりの脳内補完も要しますが、それはともかくとして美しい終わり方でした。悟の精神は、悟と関わった人や悟が描いた漫画を通して生き続けるのでしょう。ただそれは分かるにしても、やはり個人的には、悟の小学校時代の担任教師・八代学(及川光博さん)のセリフと重なりますが、「勇気ある行動の結末が“悲劇”でいいはずがないだろう?」といった気持ちを抱かずにはいられませんでした。現実は厳しいということでしょうか。切なかったです。