ぼくは明日、昨日のきみとデートする (小松菜奈さん)

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映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、七月隆文氏の同名小説を実写映画化した作品です。『ホットロード』などの三木孝浩監督がメガホンを取っています。
小松菜奈さんは、福寿愛美 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
京都の美大に通う20歳の学生の南山高寿(福士蒼汰さん)は、いつもの大学までの電車の中で見かけた福寿愛美(小松菜奈さん)に一目惚れする。もう二度と会えないかもしれないと思った高寿は、勇気を振り絞って声を掛けて率直に一目惚れしたことを伝える。お互いに自己紹介をして、「また会えるかな?」と高寿が質問すると、愛美はなぜか涙を流す。それから「また会えるよ。またね。また明日ね」と言って電車に乗って去って行った。
翌日。高寿は同じ時間帯の電車に乗ったが、愛美に会うことはできなかった。でも大学の課題のために動物園でスケッチをしていると、突然愛美に話しかけられる。高寿は愛美にせっつかれ、自分の思い出の場所である“宝が池”に案内する。それは高寿が5歳の時に桟橋から落ちて、知らない女性に助けられた池だ。愛美も5歳の時にある出来事で死にかけたことがあるとのこと。
連絡先は交換したものの次に会う約束をしなかった高寿。それを聞いた親友の上山正一(東出昌大さん)は、すぐに連絡をするようアドバイス。さらに高寿にせがまれて、電話で話す内容をカンペに書いて指示する。その甲斐あって高寿は愛美との初デートの約束を取りつけた。
上山からデートの心得を教わった高寿は、デート場所の下見をしてから初めてのデートに臨み、告白をして見事OKをもらって交際をスタートさせる。初めて手を繋ぎ、初めて名前で呼び合う、そんな初めてのことがあるたびに愛美は涙を流した。そんな愛美のことを不思議に思いながらも愛情を深めていく高寿。2人の恋愛は順調に進むかに見えたが、愛美が秘密を打ち明けたことで2人の関係はすれ違い始めるのだった…。
前半は、少々の疑問を抱かせつつ、若さ・初々しさ全開の甘い恋愛模様が描かれていました。それは微笑ましく、なんとも温かくて穏やかな雰囲気で心地よかったです。女性なら高寿の純粋でまっすぐなところに惹かれるでしょうし、男性なら愛美の可愛らしさに惹かれるでしょう。そしてそんな幸せな雰囲気が、後半における2人の背負った運命の過酷さをいっそう際立たせていました。自身のことを涙もろいと言っていた愛美ですが、涙を流していた理由は他にもありました。それが判明した時はなんとも切なかったです。葛藤しながらも残酷な運命を受け入れて、それでも精一杯かけがえのない時を生きていこうとする2人の姿が胸を打ちました。
京都が主な舞台で、今と昔が混在しているその情景が、SF要素のある本作の雰囲気と合っていてよかったです。主題歌であるback numberの「ハッピーエンド」も作品の世界観とよくマッチしていました。特にヒロイン・愛美の胸が張り裂けそうな思いを代弁しているかのようで感動的でした。
原作小説では高寿の目線でストーリーが進んでいきますが、本作では愛美の視点も入っていました。愛美の気持ちがよりリアルに察せられて胸に迫りました。また本作ではクライマックス近くで高寿が愛美の絵を描くエピソードが加えられています。そのことによって15歳の愛美(清原果耶さん)との繋がりとメモ帳への流れが自然に感じられてよかったです。
高寿の「僕たちはすれ違ってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつに繋がってるんだ。2人でひとつの命なんだ」という言葉も印象的でした。人はひとりでは生きていけません。みんな何かと助け合って生きています。人とのかかわり合いを大切にして、日常の些細なことにでも幸せを感じながら一日一日を生きていきたいと思いました。