ブラックボード (佐藤浩市さん)

satokoichi04

ドラマ『ブラックボード~時代と戦った教師たち~』は4月5日から4月7日の三夜連続でTBS系列にて放送されました。
佐藤浩市さんは、第二夜(校内暴力[生きろ])に後藤明 役で出演しました。
●導入部のあらすじと結末を含めた感想
白濱正平(櫻井翔さん)の教え子で教師となった後藤明(佐藤浩市さん)は、1980年、大田区立都中学校に戻ってきた。懐かしいはずの母校は、暴走族のバイクの爆音が轟き、窓ガラスは叩き割られていて、教室の黒板には赤いスプレーで“死ネ”と書かれていた。
実は後藤は校内暴力が横行する都内の中学校で生徒指導係として陣頭指揮を執った経験があり、校長の野上悦男(前田吟さん)がその手腕を見込んで呼び寄せたのだ。後藤が担任となった3年5組には、学校一の問題児・古沢ゆかり(志田未来さん)がいた。黒板の落書きや教室の破壊も彼女たちの仕業で、それを知った後藤は、ゆかりに落書きを消すように命じ、反抗する3人をその場で殴った。
教師たちが警察の手に委ねてゆかりたちを見捨てようとする中、後藤はどこまでも体を張って彼女たちの暴力を止める。しかし“暴力教師”と呼ばれ、教師、PTAからの反発が出るのだった…。
1980年、終戦から35年の月日が経ち、日本の経済的な繁栄とは裏腹に教育の現場では“校内暴力”の嵐が吹き荒れていたようです。厳しい校則や過酷な受験戦争などに反発して、すさまじい暴力行為を繰り返す人が現れたのです。本作はそんな校内暴力に立ち向かった先生のお話で、“暴力教師”と批判されながらも力ずくで学校を守ろうとした先生と、見えざる敵に向かっていた生徒の闘いの物語でした。
後藤がゆかりたちに語りかけた「石ころだって蹴飛ばしてくれる奴がいたら、遠くへ行けるんだ。道端に転がる石みたいな俺でも、“ひとりじゃない”って気付いたら、いつか何かできると思えた。生きてていいんだってな。おまえら、あの頃の俺にそっくりだよ。暴れるだけ暴れて、人を恐がらせて遠ざけるだけだ。一番の弱虫だよ。俺はな、おまえらと闘うために都中に来たんだ。卒業するまで、とことん勝負してやろうじゃねえか」という言葉が印象的でした。愛情を持ってまっすぐに向き合う後藤のおかげで、ゆかりも次第に授業に興味を持ち始めました。体罰は絶対に反対だと後藤の方針に反発していた横手涼子(貫地谷しほりさん)でしたが、そんなゆかりの変化を見て、後藤は生徒のことを本当に考えているのではないかと思い始めました。
その後、野上校長が父兄の抗議に耐えかねて、交番に学校のパトロールを依頼したことにより、ゆかりたちは後藤が裏切ったと誤解して再び荒れてしまいます。そんな中、暴力教師の息子という目で見られることを気にしていて、周りに馴染めず、鬱屈した日々を送っていた息子・新一(林遣都さん)も荒れて事件を起こしてしまいました。世間で騒ぎになり、PTAからの圧力もあって、後藤は辞表を出すこととなりました。妻・のり子(木村多江さん)の“母親を退職することはできない”との言葉で目が覚めたのか、どこか逃げている面もあった後藤は息子ともまっすぐに向き合うようになりました。そして、「教師に退職なんか無い。確かに私は昨日辞表を出しました。しかし子どもらにとって、私が教師であったことは消えてなくならないんです。一生奴らの中に残るんです。我々の仕事というのは、そういう仕事なんじゃないでしょうか。親をやめることができないように、教師をやめることもできないんだ」と教師たちに諭して、校内で騒ぎを起こしているゆかりたちの説得に当たります。ゆかりが意図せず引き起こしてしまった教室の火事を、後藤は目の前で必死に消火活動し、なんとか消し止めます。実はゆかりはシンナーを使って教室の落書きを消そうとしていたということに後藤が気付いてあげて和解しました。炎の中、逃げることを放棄して死のうとしていたゆかり。後藤はそんなゆかりに「やはり死ななくてよかったな。生きててよかったろ、おまえ」と言って涙を流しました。ゆかりも泣きました。後藤の思いがゆかりに通じたようでよかったです。
そして迎えた卒業式。ゆかりは無事卒業しました。ゆかりたちによって一時は枝が折れた桜の木は、後藤が支えを作ったおかげもあって、すっかりくっついて綺麗な花を咲かせていました。ゆかりと桜の木のリンクがベタながら見事だと思いました。卒業式の後、桜の木のそばで再会するゆかりと後藤。ゆかりは一度はそっぽを向きつつも、振り返って後藤に話しかけ、高校への進学はできなかったが、自分の家のラーメン店を手伝うと告げました。ゆかりは希望に満ちあふれた表情をしていました。
第三夜は、後藤の同僚教師だった涼子が校長になっている2011年の大田区立都中学校が舞台です。3年担任の英語教師・滝沢桃子(松下奈緒さん)のクラスは学級崩壊の状態のようです。