映画 妖怪人間ベム

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『映画 妖怪人間ベム』は、日本テレビ系列にて2011年に放送された連続テレビドラマ『妖怪人間ベム』の劇場版であり、そのテレビドラマの続編にあたります。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
名前の無い男(柄本明さん)を倒した戦いで、人間になることよりも人間を守って生きていく道を選び、せっかく友人になれた刑事・夏目章規(北村一輝さん)たちの前から姿を消した妖怪人間ベム(亀梨和也さん)、ベラ(杏さん)、ベロ(鈴木福さん)。
そんな彼らは、バスジャック犯を退治したにもかかわらず、その醜い容姿ゆえに、またもや人間に恐れられて嫌われ、逃げるように放浪していた。彼らは次なる街にたどり着いたが、以前来たことがある街だったので早々に立ち去ろうとしていたところ、怪事件に遭遇する。事件現場には巨大な爪跡が残されていた。この街では、怪事件が連続して発生していて、被害者はすべて大手製薬会社・MPL製薬の社員だ。MPL製薬の社長・加賀美正輝(中村橋之助さん)は記者会見で事件との関係を否定していた。
そんな中、ベロは街で少女・上野みちる(畠山彩奈さん)と出会い、恋に落ちてしまう。みちるはMPL製薬の新薬開発研究者・上野達彦(筒井道隆さん)の娘であり、母親の小百合(観月ありささん)は自動車事故で亡くなって死体が行方不明のようだ。
MPL製薬の社長・加賀美の危機を救うベムたちだが、逆に警備員たちから不審者扱いされて警察を呼ばれそうになる。そこへ刑事・夏目が現れて、ベムたちを助けてくれる。ベムたちとこの街の怪事件のことが気になっていた夏目は、個人的に調べに来たのだ。夏目とベムたちは協力して事件の謎を追うことにするのだった…。

醜い体に正義の心を宿すヒーロー・ベム、ベラ、ベロが映画で帰ってきました。テレビドラマファンとしては、ベムたちの良き理解者である夏目一家や大学教授の緒方(あがた森魚さん)家の面々の登場も嬉しかったです。夏目がベムにチョコレートを差し出したり、緒方小春(石橋杏奈さん)の作ったおにぎりの形がいびつだったりと、テレビドラマを踏まえたエピソードも出てきました。
テレビドラマではいわば“悪”の塊である名前の無い男(映画では帽子の男と呼ばれている)と融合することが人間になる方法と判明したにもかかわらず、葛藤の末に「人間を守る妖怪人間」として生きていく道を選んで、その男を倒したベムたち。映画では“永遠の命を持つ緑の葉”の登場により、新たに人間になる方法を見つけました。そんな中、その葉を介して妖怪化した人間、小百合と遭遇します。彼女はある理由から製薬会社を憎んでいるのですが、感情が高ぶるとその気持ちが抑えきれずに暴走してしまうということに悩まされていました。人間として生きたくてもできない者同士である小百合とベムたちの、互いに望まない対決が展開されて、胸がしめつけられる思いがしました。
多くの人々が救えるのなら、わずかな犠牲者が出るのは仕方がないという加賀美。いわば人間の欲望を叶える企業が犠牲者を出すという社会悪が描かれていて、いろいろと考えさせられました。延命、美貌、快適な生活の追求など、私も何らかの形でその恩恵を受け、結果的に悪に荷担しているのかもしれません。ベムの「誰も傷つけることなく人間を救いたい」という言葉は確かに理想で現実的ではないのかもしれませんが、同じくベムの「忘れないでください。犠牲になる者にも温かい血が流れているということを」という言葉を肝に銘じるべきだと思いました。
ラストの方でベラが連想遊びで例えて、「離れていたって私たちはつながってる。それで十分じゃないか」と言ってベロを励ますシーンも印象的でした。人とのつながりは、物理的な距離に関係なく、心と心のつながりが大切であるとあらためて思いました。
正直、映画としては物足りない面もありましたが、テレビドラマに比べればアクションシーンがスケールアップしていましたし、特にラストの対決のCGなどは映画だからこそ実現できたのでしょう。なかなか見ごたえがありました。そして何よりも、テレビドラマ同様にテーマがしっかり描かれていたところが良かったです。