バケモノの子 (The Boy and The Beast)

bakemono

アニメーション映画『バケモノの子』は、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』などの細田守さんが監督・脚本・原作を務めています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
蓮(声:宮崎あおいさん)は、両親が離婚していて母親と暮らしていたが、交通事故で突然母親が急死する。母親の親戚に引き取られることになった蓮だが、それを拒否して家出する。
そんなある夜、渋谷の高架下でうずくまっていた蓮は、熊顔のバケモノ・熊徹(声:役所広司さん)と出会う。熊徹は蓮に「おまえ、俺と一緒に来るか?」と話しかける。突然の誘いに戸惑いつつも、当てがない蓮は熊徹の後を追いかけ、人間の世界とは別のもう1つの世界に迷い込む。そこはバケモノたちが住む世界、バケモノ界の渋天街だった。
渋天街で蓮と再会した熊徹は、蓮を自分の弟子にしようとする。熊徹は、渋天街の次期“宗師”候補の一人で、現・宗師(声:津川雅彦さん)から跡目を目指すなら弟子を取るよう言われていた。しかし、粗暴な性格が災いして長続きする弟子がおらず、それでやけになって人間界で探していたのだ。
蓮は、嫌々ながらも熊徹の弟子となり、年齢が9歳だったことから熊徹に「九太」と名付けられる。こうして2人の奇妙な共同生活が始まる。
それから8年後、青年となった九太(声:染谷将太さん)は、ひょんなことから渋天街から人間界の渋谷に戻り、図書館で女子高校生の楓(声:広瀬すずさん)と出会う。楓から勉強を教わり、新しい世界や価値観に触れた九太は、自身が本当に生きるべき世界を模索し始める。
そんな中、渋天街の次なる宗師を選ぶ決戦が執り行われ、ある事件が巻き起こり、人間界とバケモノ界を揺るがす騒動に発展するのだった…。
事あるごとに罵り合って衝突する熊徹と九太ですが、ある意味お互いに自分を出し切って気持ちをぶつけ合っています。父親が行方不明の九太はいつしか熊徹に父親を重ね、たった一人で育った熊徹は、九太との暮らしを通じて親としての自覚を持ち始めました。ぶつかり合いながらも、お互いを思いやるようになり、やがてまるで本当の親子のような強い絆で結ばれていく2人の姿が感動的でした。
熊徹と九太はもちろんのこと、他のキャラクターも個性があって魅力的でした。熊徹の悪友で猿顔のバケモノ・多々良(声:大泉洋さん)は、頭の切れる口の悪い皮肉屋ですが、何かと熊徹のことを気にかけます。同じく熊徹の悪友で?せた豚顔のバケモノ・百秋坊(声:リリー・フランキーさん)は、聡明で誰にでも優しく接する僧侶で、熊徹との師弟関係に悩む九太に度々助言を与えます。渋天街を長年束ねてきた長老である兎顔のバケモノ・宗師は、本来渋天街では人間を弟子にすることは禁忌とされていましたが、熊徹と九太のことを認めてくれました。楓は九太にとって人間界での師匠のような存在で、九太のことを心から心配してくれます。九太がそんなたくさんの人たちに支えられながら成長していくところも印象的でした。
バケモノ界をはじめとする幻想的な世界観やラストでリアルな渋谷の街を舞台にしたスペクタクルなシーン、熊徹と猪王山(声:山路和弘さん)の対決をはじめとするアクションシーンなど、映像的な見どころも満載でした。