99.9 刑事専門弁護士 最終回 (奥田瑛二さん & 岸部一徳さん)

okudaeiji
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TBS系列の毎週日曜夜9時枠にて放送されていた日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士-』は先日、最終回(第10話)を迎えました。
奥田瑛二さんは大友修一 役で、岸部一徳さんは斑目春彦 役で出演しました。
●あらすじと感想
深山大翔(松本潤さん)たちは、連続殺人事件の容疑者として逮捕された石川陽一(中丸雄一さん)の弁護を担当することになる。
早速、深山と立花彩乃(榮倉奈々さん)が接見に行くと、すぐさま石川は「僕はやってません」と言う。検察の丸川貴久(青木崇高さん)にも無実を訴えたが聞き入れられず、毎日深夜まで取り調べられ、最後は自分でもよく分からずに調書にサインしてしまったのだと説明する。
都内で起きた連続殺人事件の1件目も2件目も、殺害現場に石川の毛髪と血痕が残されていたこと、そして刃物で心臓を一突きされるという殺害方法が全く同じだった。石川の犯行時刻のアリバイは、1件目の時刻には家に一人でいて、2件目の時は調布中央駅の駅ビルにいたというものだ。今回は物証が固いため、覆せるとしたら石川本人が殺害現場にいなかったことを証明するしかないと室長・佐田篤弘(香川照之さん)は言う。
深山は殺害方法に違和感を覚え、それぞれの殺害現場に足を運ぶ。それから石川の父・啓太(平泉成さん)から話を聞き、小さい頃から気が弱くて人と争うことを嫌う子で柔道等の経験もないことを知る。
調書には「正社員の話が見送られてムシャクシャして犯行に及んだ」とあるが、彩乃の聞き込みにより、石川はそもそも正社員になることを望んでいなかったことが判明。検察の資料によると現場には石川の血痕が残っていたので、ケガをするほど被害者に抵抗されてもみ合いになった可能性が高いが、そんな状態で刃物で心臓を一突きするのは不可能だったのではないかと深山が疑問を呈する。抵抗される前に刺したのであれば、現場に石川の血痕が残っていたのは不自然だからである。
しかし、佐田は、アリバイを証明することが無罪を勝ち取るための一番の近道であるとして深山の捜査方法を否定。深山は自分には有罪か無罪かは関係なく知りたいのは事実で、アリバイを証明するだけだとすべての事実は分からないと反発する。
深山はふと目にした週刊誌で、静岡県浜松市で起きた強盗殺人事件の殺害方法も、刃物で心臓を一突きであると知る。早速、深山はその記事を書いた記者のもとを訪れて事件について聞く。それから記者と一緒に犯行現場であるアパートに行き、管理人に頼んで同じ間取りの部屋で検証をする。
そして迎えた第1回公判前整理手続。佐田と彩乃は、2件目の事件で石川にはアリバイがあった旨を主張し、事件の犯行時刻において現場から30キロ以上離れた防犯カメラに石川が映りこんでいる映像を証拠物として請求する。
そんな中、静岡から深山が帰ってくる。深山は佐田と彩乃に静岡の強盗殺人事件のことを説明し、強盗目的を装った可能性があると言う。それから東京の2件も、わいせつ目的を装った可能性があると主張。佐田が石川のアリバイが証明できるから意味がないと説明すると、深山は、アリバイが証明できても物証は崩せていないと言い、検察側が描いたストーリーに合わせるため、事実をねじ曲げられることは十分にあり得ると断言した。静岡で殺人があった6月13日に石川はすでに勾留中の身だったことから、石川が静岡で殺人を犯すことは絶対に不可能であると説明し、3つの事件が同一犯であることを証明できれば、石川が犯人ではないという決定的な証拠になると主張するのだった…。

深山が危惧していた通り、第2回公判前整理手続において、検察側は訴因変更し、2件目の事件の犯行時刻を22時ではなく24時まで延ばしました。事実をねじ曲げて石川のアリバイを崩すためです。それは元をただせば検事正・大友修一(奥田瑛二さん)の指示によるものでした。今回の事件は、深山の父親の事件と構図が似ていました。深山の父親も犯行時刻のアリバイを証明してくれる人が見つかり、公判で証言してもらいましたが、検察は今回と同様に犯行時刻の訴因変更を行ったのです。深山の父親と友人でもあった斑目法律事務所の所長・斑目春彦(岸部一徳さん)はそのことを佐田たちに説明し、「この裁判は絶対に勝たなきゃならないんだ」と言いました。そして深山の父親が逮捕・起訴された事件の担当検事でもあった大友のもとを訪れ、「無実かもしれない一人の男が、おまえたちに人生を握りつぶされそうになっている。おまえはそれを指示し部下に判断をさせた。もし石川が冤罪で極刑に処された場合、直接手を下したおまえの部下はそれを背負って生きていかなきゃならない」と言って迫りました。するとすかさず大友は「被告人に対する処罰・運命を背負うのが私たちの任務だ。それを背負えない人間に検察官は務まらん」と返答。それに対し斑目は「ならばおまえはこの事件を最後まで見届ける義務がある」と主張しました。臨戦態勢の斑目に、大友は「もういい加減、過去のことは忘れろよ」と言いました。間違いなく深山の父親の事件のことでしょう。斑目は黙ってその場を立ち去りました。
訴因変更により、石川のアリバイを証明するのが難しいと考えた佐田は、依頼人・石川の利益のためには真犯人を見つけるしかないと腹をくくりました。つまり、深山がいつもやっているやり方でやるしかないと認めたのです。そこで、お互いの情報を開示して協力してほしいと深山に頼みました。
早速、深山・佐田・彩乃は、3つの事件の共通点を探り始めます。被害者や依頼人の生い立ちから聞く深山の方法が、すっかり佐田にも染みついていて面白かったです。やがて3つの事件の被害者全員が、5年前の同時期に東京の勢羽総合病院に入院していたことが判明しました。争点関連の証拠として捜査してもらうよう検察に掛け合い、彩乃の必死でまっすぐな思いが丸川に伝わったのか、入院名簿を入手することができました。5年前の入院名簿から被害者の3人が同じ部屋に入院していたことが判明。しかも4人部屋でもう一人いました。4人目の入院患者は1年間の海外赴任に出ていました。帰国早々深山たちが話を聞くと、連続殺人事件1件目の被害者である中田が、当時の担当医に体を触られたとして騒いでいたことが分かりました。中田は担当医を訴える気満々で、他の3人にも証言してほしいからと連絡先を聞いてきたとのこと。でも結局は大ごとにしたくないという理由で示談にしたそうです。その担当医は、今や都知事になった高山浩介(神保悟志さん)でした。中田はその後なぜか高山のところで選挙スタッフも務めています。そもそも犯人はどうやって石川の毛髪と血液を手に入れたのかという疑問が生じ、石川が3カ月前に人間ドッグに行ったことに行き着きました。深山が石川の証言を頼りに調べたところ、院長であった高山が石川の血液を盗んだと看護師が明かしました。
つまり真相はこうです。中田は5年前、わいせつ行為に関して一度は高山と示談に応じたものの、高山が都知事選に出ると知って、選挙ボランティアを装って近づき、過去をばらさない代わりに金を出せと脅してきたのです。高山は、このままだとずっと中田に脅迫され続けるかもしれないと感じて中田を殺害。そして口封じのために同じ病室に入院していた全員を殺そうとしたのです。
斑目が深山をスカウトしたのは、深山の弁護士としての才能が半分、あと半分は、友人である深山の父親にも、大事な親を失った深山にも当時何もしてやれなかったため、せめてそばに置いて見守ることが自分の役目だと思ったからでした。
石川の裁判において、深山は大友が傍聴席に姿を現すと、大友に訴えるように「今回の事件は刑事裁判で最も大きな罪とされる冤罪事件です。冤罪事件は多くの人を不幸にします。被害者とその家族は罪なき者を憎み、ある日突然身に覚えのない容疑で加害者にされてしまった者は、やり場のない怒りと恐怖を抱え、日常を奪われてしまうんです。そしてその家族は、犯罪者の家族として世間の非難にさらされる。日本の刑事裁判における有罪率は99.9%。なぜこのような高い数字が出るのでしょうか?それは、国家権力である検察官が起訴を決めた内容は正しいはずであると誰もが疑わないからです。ですが、本当にそうなんでしょうか?我々は、そこに隠されているかもしれない本当の事実を見逃してはならないんです。どうか皆さん、目で見て、耳で聞いて、考え、自分の答えを探してください。起こった事実はたった一つです」と言いました。
判決は無罪でした。石川は喜びや色んな思いから泣き崩れました。丸川は今回の件で少しは考えを改めたのでしょうか。閉廷後、佐田と彩乃に呼び止められた丸川は、「事実はただ一つですから。また法廷で会いましょう。失礼します」と言って立ち去りました。
一方、廊下で大友と対面した深山は、「事実を見つけられず真犯人が捕まっていなかったら、石川さんはあなたたちに殺されていたかもしれない」と言います。すると大友は「いやあ、我々検察は、被告人の犯罪を証明する立場だ。我々の努力の結果、有罪になったら、裁判所がそう判断したということだ。我々が殺したなどとは、聞き捨てならないね。心外だよ」と答えました。それに対して深山は「裁判所の判断に大きな有罪のバイアスをかけるのは、あなたたちですよ」と言います。すぐさま大友は「君は勘違いをしている。我々は被害者のために犯罪を犯した人間を許すことはできない。この社会の正義をまっとうする使命がある」と主張しました。深山は「正義とか真実とかっていう100人いたら100通りの考えがあるようなもの、僕は信じないですよ。ある日突然、僕はあなたたちに父を奪われた。その日を境にすべてが一変した。あんたはそのゆがんだ正義とやらで何人の人生を狂わせるんだよ?冤罪事件で加害者にされた人間も犯罪の被害者なんだ。僕はその立場に立って、ずっと弁護を続ける。あなたがあなたの正義というものを貫くのであれば、僕は事実だけを信じてあなたの前に立ち続けますよ」と宣言しました。複雑な表情を浮かべる大友ですが、残念ながら恐らく深山の思いは届いていないのでしょう。彼が気にしているのは法務省人事だけなのです。でもどうやら今回の件が影響して狙っていた検事総長の座を逃したようです。当然の結果でしょう。
全体を通して、個性豊かな登場人物とその掛け合い、弁護士と検察の対立構造、随所に散りばめられた小ネタが面白かったです。