3月のライオン 前編 (神木隆之介さん)

kamiki11
映画『3月のライオン 前編』は、羽海野チカさんの同名漫画を実写化した2部作の前編です。
『るろうに剣心』シリーズ、『秘密 THE TOP SECRET』などの大友啓史監督がメガホンを取っています。
神木隆之介さんは主人公・桐山零 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
中学生の時にプロ棋士としてデビューした桐山零(神木隆之介さん)は、小学生の時に交通事故で両親と妹を亡くして、父の友人である棋士・幸田柾近(豊川悦司さん)に引き取られて育った。しかし自分のせいで幸田家に亀裂が入り、17歳になった現在は家を出て東京の下町のアパートで一人暮らしを始めていた。
高校では、会話を交わすのは担任の先生・林田高志(高橋一生さん)だけで基本的に孤立していて、友達も家族もない零は深い孤独を抱えながらすがりつくように将棋を指し続けていた。
ある日、零は先輩棋士に付き合わされ酒を飲んで具合が悪くなって道に倒れ込む。そこへ近隣の町に住む見ず知らずの女性・川本あかり(倉科カナさん)が通りかかって自宅へ連れて帰り介抱してくれる。その日から零は川本家と次第に交流を持ち始める。
そんな矢先、零の前に義姉の幸田香子(有村架純さん)が現れる。香子は零に勝てないことを理由に父親からプロ棋士への夢を奪われた。人生を否定されたと感じて傷つき荒れる香子を見て零は家を出たのだが、香子も父親を避けて家をあけるようになっていた。しかも妻のいるプロ棋士の後藤正宗(伊藤英明さん)と微妙な関係を続けていた。そんな香子は辛辣な態度で零に接するものの、部屋に上がり込んでは自身の心情を吐露したりする。
新年を川本家で迎えて皆で初詣に出かけた零は、神社で後藤と香子に出くわす。妻がいることを指摘して不適切な関係をやめるよう後藤に進言する零だったが、問答無用で殴り倒される。そこで零は香子から、もし自分が師子王戦トーナメントで後藤に勝ったら家に戻って父親を許すという約束を強引に取り付けるのだった…。

プロ棋士・桐山零と彼を取り巻く人々が抱えている孤独や心の葛藤が描かれています。
零は、川本家の長女・あかり、次女・ひなた(清原果耶さん)、末っ子・モモ(新津ちせさん)の3姉妹、すぐ側で和菓子屋「三日月堂」を営む祖父・相米二(前田吟さん)、3姉妹の伯母であかりが勤めるバーの経営者でもある美咲(板谷由夏さん)たちとの交流を通じて、自分の居場所を見出していきます。にぎやかな食卓や風邪をひいた時の対応、お出かけの様子など、まさに家族団らんという感じで心が温まりました。
一方、回想シーンで登場する幸田家は、何事においても将棋を中心に据えた生活でギスギスした雰囲気。零の養父・柾近は、将棋の才能を開花させていく零を無意識のうちに特別扱いし、自分の子どもたちには厳しい世界だとしてプロ棋士の道を諦めさせて心を傷つけて家庭不和を招いてしまいました。零もまたそのことに心を痛めて責任を感じています。意外だったのが、小学生の零が柾近に言った「将棋が好き」という言葉が嘘だったということです。家族を失って天涯孤独になってしまった零は、生き抜くために、引き取ってもらうために嘘をついたのです。
対局シーンも印象的でした。“無言の駆け引き”が表情や仕草で表現されていて、生々しくて緊張感が伝わってきました。また、時折交わされる心の会話も興味深かったです。盤上の駒によって伝わる感情を心の声として表現したのでしょう。
来月4月22日より公開される後編では川本家に問題が生じるようです。史上最年少で名人になり7大タイトル独占を成し遂げた天才棋士・宗谷冬司(加瀬亮さん)と零との対局も実現するのでしょうか。様々な人々と関わることで成長し、愛を知り、徐々に人間味を帯びていく零の姿を見届けたいと思います。