22年目の告白 (藤原竜也さん)

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映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』は、韓国映画『殺人の告白』をベースに、入江悠監督がメガホンを取って日本ならではの時事性を加えてアレンジした作品です。
藤原竜也さんは、曾根崎雅人 役で出演しています。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想(ネタバレ注意)
阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した1995年、東京で同一犯による連続絞殺事件が起こる。懸命な捜査もむなしく事件は時効を迎えた。
2017年、曾根崎雅人(藤原竜也さん)という男が記者会見を開き、世間は驚愕する。曾根崎は22年前の連続殺人事件の犯人だと名乗り、犯行の一部始終を書いた告白本を出版したのだ。
そんな曾根崎に対して複雑な思いを抱く男がいた。それは当時担当刑事だった牧村航(伊藤英明さん)だ。牧村はもう少しで犯人を捕まえるところまでいったものの取り逃がし、犯人の罠にハマって尊敬する上司・滝幸宏(平田満さん)を目の前で殺されたのだ。
賛否両論を巻き起こしながら本はベストセラーになり、曾根崎を“ソネ様”と呼んでもてはやす者、逆に告白本を発売した出版社で抗議デモを行う者なども現れ、曾根崎の話題でもちきりとなる。
報道番組「NEWS EYES」のメインキャスター・仙堂俊雄(仲村トオルさん)は、プロデューサーたちに曾根崎を番組に出すよう提案する。法律で曾根崎を裁けないのなら自分たちが裁く必要があるのだと言う。
そんな中、曾根崎は、マスコミを連れての被害者遺族への謝罪、牧村への挑発、そしてサイン会を行うなど、さらなる話題作りを狙う。そしてついに曾根崎は「NEWS EYES」にスタジオ生出演するのだった…。
22年前の事件がどのようなものだったのかが牧村の回想シーンによってどんどん明らかになり、それから現在の騒動につながっていくテンポもよく、曾根崎と牧村を取り巻く展開も緊迫感があって見応えありました。
曾根崎のことを憎んでいるはずの牧村ですが、命を狙われる曾根崎を体を張って守ります。それは、牧村が警察にも隠していたある重大な事柄と関係がありました。それが明かされた時は衝撃的でした。
曾根崎は22年目の告白の理由について、真実を明らかにするため、罪を償うためと説明していました。時効が過ぎてからの告白で何を言っているのかと初めは思いましたが、これまた驚くべきことに、その目的に嘘偽りはありませんでした。色んなものを失う覚悟を持って突き進む曾根崎に心を打たれました。
22年前の連続殺人は、「殺害の瞬間を被害者の家族、または被害者に近しい人に目撃させること」、「背後から縄によって絞殺すること」、「目撃者を殺さず生かしておくこと」という独自のルールに則って犯行が行われていました。最初、これは単なる猟奇性のあらわれだと思っていましたが、実は犯人の殺害動機にも関係していて驚きました。
連続殺人事件の被害者遺族の一人で病院の院長の山縣明寛(岩松了さん)が言っていた“ファントム・ペイン”という言葉も印象的でした。ファントム・ペインとは、何らかの事故で腕や足を失った患者が、なくしたはずの場所が痛むという現象です。山縣は「無い場所が痛むから、治療しようがない」と言って、大切な人を失って苦しむ被害者遺族に似ていると説明していました。実は犯人もまたこの現象に近い経験をしており、色々と考えさせられました。
橘組系列の飲食店で働くチンピラ・戸田丈(早乙女太一さん)が22年前の連続殺人事件と繋がりを持っていたのにも驚きました。そして彼の執念深さにはある意味感服しました。刑法第39条によって結末がモヤっとする可能性がありましたが、誤解を恐れずに言えば、彼のある行動のおかげでスッキリしました。