ゼロの焦点 (広末涼子さん & 中谷美紀さん & 木村多江さん)

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映画『ゼロの焦点』に広末涼子さんは鵜原禎子 役で、中谷美紀さんは室田佐知子 役で、木村多江さんは田沼久子 役で出演しています。原作は松本清張さんの長編推理小説です。1961年にも野村芳太郎監督によって映画化されていて、今回は、松本清張さんの生誕100年を記念して犬童一心監督によって再映画化された作品です。
先日、劇場に観に行きました。
●導入部のあらすじと感想
結婚を夢見ていた禎子(広末涼子さん)は、少し年齢の離れた鵜原憲一(西島秀俊さん)とお見合い結婚した。しかし、結婚式から7日後の12月1日、仕事の引き継ぎのために金沢に出張した憲一は、出発の際、禎子に8日帰京すると告げたにもかかわらず、7日に金沢出張所を出立して以来、行方不明となってしまった。
金沢に向かった禎子は、憲一の後任である本多良雄(野間口徹さん)の協力を得つつ、憲一の行方を追う中、2人の女性と出会う。1人は、憲一のかつての得意先である室田耐火煉瓦株式会社の受付嬢・田沼久子(木村多江さん)と、もう1人は、その会社の社長婦人・室田佐知子(中谷美紀さん)。
そんな中、憲一とかかわりのある人物が次々と殺されるという謎の連続殺人事件が起きる。久子のことを調べるうちに、憲一の失踪と時を同じくして起こった、ヤセの断崖からの落下によるものと思われる身元不明の死体の事件も浮上するのだった…。

事件をきっかけにして、決して交わることの無かった3人の女性の運命が複雑に絡み合っていくところが面白かったです。
残念だったのは、禎子が夫の失踪と一連の事件の真相に迫る推理の過程や根拠があいまいな点です。突然、禎子の頭の中に真相が回想シーンとして再現されるような展開で、少々不自然に感じました。
すべての謎が交わる焦点で見えたものは、あまりに切ない悲劇でした。その悲劇を本当の意味で理解するには、当時の社会情勢を知る必要があります。社会情勢が事件の背景・動機として組み込まれているからです。物語の舞台が、戦後日本が大きく変わろうとしていた新時代への転換期であったというのが少なからず影響しているのです。
物語の後半で中谷美紀さんが見せる鬼気迫る演技が印象的でした。時代に翻弄されたとも言える女性たちの傷跡は、佐知子がモデルの肖像画に残されました。原作には登場しない佐知子の弟・鳴海享(崎本大海さん)が描いたその肖像画が、現在の東京の画廊に飾られているという場面で物語は締めくくられます。私たちが生きている現在は過去の歴史の上に成り立っているのであり、不都合な過去も忘れ去るのではなく向き合っていくべきだというメッセージが込められているように感じました。